純喫茶丸 8knot    〜喫茶店で考えた〜

2015年からの純喫茶訪問ブログ。純喫茶をはしごする船ということで”純喫茶丸”という船の名前がタイトルです。

【香川県:高松市】城の目 *夏の山陽&四国の旅行

さて、香川県の喫茶店にいこう。当ブログでは、純喫茶*香川県のカテゴリーを今日初めて加えた。2年前にも香川県に来ているが、写真が眠ったままのようだった。早めに他のお店も記そうと思う。その中でも、今回の城の目は香川県一、いや日本一ともいえる崇高な喫茶店だ。

 

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クリエーションの待ち合わせ場所

城の目は世界でも名高い建築家、彫刻家、詩人など各分野のクリエーターが交流した場所だ。当初はクリエーターたちだけの打ち合わせ場所だったところを、後に喫茶店として開業したそうだ。入店すると眼前に見えるのは、昭和39年開催のニューヨーク万博で日本館の外装の試作品として作られた石壁だ。そのほかにも世界初の石造りのスピーカーなど(その重量3~4トン!)貴重なアート作品に囲まれた空間だ。こんな歴史的な美術品を目の前にして喫茶メニューをいただけるなんて最高だ。喫茶店好きとしては一度は訪問しておきたいと思い、この日に念願が叶った。はじめはなんだか恐れ多くて端っこの隅の方に小さくすわっておこうとしたが「せっかくだから広い席に座りなさいよ♪」とマダムに誘われ、暗灰色の玄武岩のめの前に座った。
火山岩でできた壁なんて、ほかにどこで出会えるだろう。

瀬戸内海の転流 海の復権

香川県といえば直島のほか、島々がアートで彩られる県として最近は名高い。昨今でも、四国自体が本州と海を隔てて存在しているせいか、私には独特の楽園に見える。しかし内情は、高齢化が進んでおり、そのため地域の活性化が減って、島々独自の文化が消えつつあるそうだ。そこに風穴を開けようと、海の復権をテーマに瀬戸内国際芸術祭が開催されるようになったらしい。瀬戸内海は、美しい自然と海の煌きがある場所だ。この島々を文化発信地とし、世界にその名を広め新しい時代を迎えようとしているとのことだ。

ところで、四国には名の通った海峡がたくさんある。鳴門海峡や来島海峡などがそうだ。海峡というのは、陸と陸の間に挟まれた海の幅の狭くなったところのことで、瀬戸内海のように大小様々の島が狭いエリアに点綴する場所は、必然的に海峡が多く存在すする。島々の珠のような連なりは、景勝としては風流だが、船舶の航行にとっては難所だ。海峡では転流時という”潮流が流れの方向を変えるタイミング”があり、船舶はその時刻を計算して航行計画を立てる。瀬戸内海では、転流がよく発生する場所のため、「芸術祭で島の活性化を」という新しい潮流を発生させる地として、ここほど説得力のある地はないだろうと思う。芸術祭が開催される各島へは、城の目がある高松の港=高松港岡山県宇野港が本州への玄関口となるが、一日数本のフェリーで行くほかに交通手段がないので、一日ですべてを見て回れないと思う。効率や均一化という価値観からもっとも遠く離れた価値観を感じるだろう。船でしか廻れない芸術祭なんて魅力的だ。ある意味船が主役かもしれない。瀬戸内海は造船業が盛んだ。新造船の試運転もよく行われている。四国に住む人にとって、船が日常の移動手段であることもで実感できるだろう。

こんぴらさんと金陵以外の香川県

この四国の旅では、瀬戸大橋としまなみ街道を通った。真下では造船作業が間近に見られて感動した。瀬戸内海の明るい陽に照らされた碧い海と、波で描かれた白い水尾が美しい。濃淡のある山畑の彩りと、鈴なりの柑橘類の黄色とがまぶしかった。瀬戸内海は絵画のような景色が満載だ。

香川県といえば、アートの街だ。しかも特別じゃなく日常の場所にある。こういう城の目のような喫茶店がごく普通に存在する素晴らしさ。本当に羨ましい。前回の高松訪問時には定休日で断念したが、今回は入ることができてうれしい。香川が気に入りすぎて、東京でもおいしい讃岐うどん屋さんを探してしまった。城の目は店内撮影禁止のため、写真は外観のみだ。店内の魅力が伝わるとうれしい。ちなみにクリームソーダをいただいた。純なメニューだった。

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香川県高松市紺屋町2-4

【2017年7月訪問】