【愛知県:名古屋市中村区】万里母 モーニング発祥の歴史を聞きました。
万里母は名古屋市中村区にある喫茶店だ。最寄駅は地下鉄東山線の中村公園駅だ。
”まりも”と読むので海の名前の喫茶店カテゴリーに入れてしまおう。
朝7:00から開店しているので、朝一でモーニングをいただきに来た。
名古屋は一軒家喫茶店が多く、素敵だ。東京だと喫茶店好きというと、どこか特別なカテゴリーに入れられる気がする。古い喫茶店が好き、というと、なぜ?と不思議がられることが多い。でも名古屋の地では、老舗の喫茶店が普通に存在しているものなのだ。個人経営の店もまだまだ残っている。お客さんも循環しているから”気”が綺麗だ。活気という澄んだ気が流れてる。
名古屋のこの文化、とても羨ましい。万里母も常連さんが朝からマスターと陽気におしゃべりをしていた。常連さんがたくさんいる証である壁に秩序よくならんだコーヒーチケットはインテリアの一部だ。ここでのモーニングは、お値段350円だ。
本当にお得すぎる。
こちらにあったかうひい熟語一覧がお気に入りだ。コーヒーの当て字である。
ママに「若い人はみんなこれを写真撮るのよね。面白い?」と聞かれました。
珍しいし、文字が可愛いと思う。中でも”過希”と”香湯”という文字が気になった。
過希...コーヒーは過ぎたる希か…。昔は高級品だったからか。
その他のメニュー表も文字がなんか可愛い。
いろいろな看板があるお店だ。クマが看板やカップやコーヒーチケットにいた。
それから置き物で気に入ったのは、はにわだ。これは郵便局のノベルティの貯金箱だそうだ。その昔、名古屋デザイン博でだされたもので、これ欲しさに郵便局に貯金したのだ、と話してくれた。はにわの表情がとぼけていていい!マッチは「もう作ってないんだけど」とのことだったが、わざわざ探してきてくださった。
消費税が上がったとき、メニューの価格改定をしないのに、マッチをおまけに出すのは大変だ、と作るのをやめてしまったそうだが、ごもっともだ。
だから、残っているマッチをいただけるそのありがたさが身にしみた。
豊橋のモーニング文化についてお話を伺った。なぜ豊橋はモーニングが豪華なのかという話だ。むかし、豊橋には繊維工場がたくさんあった。出稼ぎで多くの人々が働いていたそうだ。当時、24時間シフトで工員さんが勤務しており、勤務終了が朝方になる場合、あいてるのは喫茶店だけというわけだ。業務後だからお腹が空いているし豪華なおかずが食べたい。でもお給料は安い...という葛藤に応え、懐が深い喫茶店が、たくさんのおかずをサービスでつけるようになった。“コーヒーだけの値段で、こんなに豪華!”なモーニングが生まれた経緯をきいた。今では繊維工場が少なくなったが(もしくは、ない?)それでも根付いた文化を続けているのだ。その思いやり、日本のサービス精神ここにありという感じだ。サービスは”無料”という意味じゃなく思いやりなのだ(それを履き違えて要求が過ぎるとモンスタークレーマーになる)。
それを絶やさないでいるところが素敵な文化だ。毎日朝食かランチは喫茶店で、という一宮や豊橋の人々がちょっと羨ましい。いつか豊橋や一宮あたりにいきたい。
お話し上手のご夫婦がいる、いい喫茶店だった。
【2017年4月訪問】