純喫茶丸 8knot    〜喫茶店で考えた〜

2015年からの純喫茶訪問ブログ。純喫茶をはしごする船ということで”純喫茶丸”という船の名前がタイトルです。

【東京都:方南町】ボルボ 喫茶店の旅 丸ノ内線全駅制覇の巻その27*方南町*

丸ノ内線全駅制覇の旅は、まだまだ続く。ゴールイブの今回は、方南町ボルボだ。
駅から徒歩10分くらい。初めて歩く道だった。

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注文を変えて欲しがる喫茶店

「うちの紅茶あんまり美味しくないんだよ。アイスコーヒーにしておきな。」
食後のドリンクにアイスティーを頼むと、こんな回答だった。
あるひとは、電話でナポリタンの有無を聞いたら「うちのナポリタンね〜、うまくないよ」と言われたそうだ。味わい深いマスターが魅力の喫茶店だ。


インターネットにもお店の情報は書いてあるが、定休日や定時はあってないようなものだそうだ。無事入店できたに、店内のボードを確認したところ、営業時間は書いてあるものの、意味のない記号だった。マスターの気分によるのだろう......。そんなゆるさがいい。

話し相手が欲しいおばあさんがマスターに愚痴をこぼしたり、近辺で働く方々が一服の休憩をするような、のどかな喫茶店だ。だから細かいことは気にしなくていい。アイスティがダメならアイスコーヒーでいい。「ほら、飲んでみな。美味しくないから!」といい最後にはおまけにアイスティーも出してくれた。こんなマスターがいる喫茶店は大当たりだ。

枠にはめてみんな仲良し。

方南町は初めて下車した。駅前の商店街はレトロで人情みがたっぷりだ。
長屋のように、ほぼ同じ規模の商店が並んでいる。上のほうにある丸い看板は、新規のチェーン店も、老舗の商店もどんなお店でもお揃いのかたちだ。テナントに入る際に、この看板の枠に収めるのが条件にしているのだろうか。真相は不明だが、どのお店もみな仲間のように同居していて心地よい。どこが目立つとか、大きいとかそういうことよりも、静かな共存を目指しているかのようだ。
時代ごとに流行があれば、お店の傾向が違い、ロゴのフォントが違ったり、色彩が異なるということはあり得る。ごちゃごちゃしている町がある一方で、ここは不思議と整然としている。看板の大きさが整っていると、こんなにスッキリするのだと実感する。

丸ノ内線の駅のホームからして、赤と白の二色だけで見事なコーディネートだ。
派手な色使いだけど、どこか落ち着きがある。終着駅のせいか、電車も一緒にホッとしているかのようだ。この方南町という駅全体が、閑寂な郊外の空気を醸し出している。本当に並みじゃない、杉並。

 

丸ノ内線沿線漂泊 ラストイブ

この散歩は、24時間乗り降り自由の〈東京メトロ24時間乗車券〉を利用した。
もしお目当のボルボが閉まっていてもまた来ればいいと思える。
ちがう駅の喫茶店に向かったらいいのだ。そんな風に心の余裕がある日は、不思議と物事がうまくいくと思う。逆に計画をギチギチに詰め込んだ日に限って、臨時休業の札をみることになったりして、まるで心を見透かされているかのようだ。
潮時はいつか巡って来る。だから、間が悪い日や勘が鈍る日があったら、とどまればいい。無理しない無理をとおさない。
茶店巡りを通して、なんだか精神が鍛錬されたきぶんだ。


ここのナポリタンは、太麺で昭和の大衆食堂のような懐かしい味わいがする。
「うまくないよ」というのは、マスターの気の利いた冗談だった。

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東京都杉並区堀ノ内1-2-10-103

【2017年3月訪問】