【東京都:築地】コリント朝日店
今日は築地のコリント朝日店。
昨夜書いた記事の”地獄にホットケーキ”のフレーズが頭から離れず、脳内はホットケーキだらけだ。その浮ついた頭を落ち着かせるためにも、今日から喫茶店のホットケーキについて書こうと思う。
といっても、コリント朝日店のものは正確にはフルーツパンケーキ。とにかくホットケーキでもパンケーキでも、小麦粉が原料の柔かく生地を丸く焼いたケーキであれば、みさかいなく紹介していこうと思う。
おそらくコリント朝日店のこの生地の厚さは、私の中のパンケーキの定義に当てはまる。
①厚くて甘い生地なのがホットケーキ
②薄くて甘くない生地なのがパンケーキ
(諸説あります。)
*検証した時の過去記事貼っておく。
コリントのフルーツパンケーキは、季節によって彩りが変化するフルーツがたっぷりついてくる。この日はパイン、オレンジ、メロンにバナナにホイップクリームだった。シロップは3種類あって、はちみつ、メープルに抹茶のシロップでお口を飽きさせない。ドリンク付きで750円と、高パフォーマンス。ガラス張りの窓側の席で、オフィスビルを闊歩するスーツに身を包んだ人々を横目に、美味しい一皿を。眼福至福。
そういえばここから晴海埠頭に行けるはずだと思いたち、このあと都バスに乗り、終点晴海埠頭へ。東京港を散歩した。海風が強かったけど気持ちよかった!
好きな角度でビットの写真を撮り、大満喫の休日だった。
【2017年6月訪問】
【東京都:入谷】オンリー千束店
今日はオンリーの千束店。オンリー三店舗のうち最後の紹介になる。各線浅草駅からも徒歩圏内だが(都営浅草線だとちょっと遠いかもしれない)、日比谷線の入谷駅からもアクセスできる。都バスで浅草四丁目停留所で降りたり、浅草駅から歩くこともできる。
こちらではホットケーキをいただいた。これも純喫茶あるあるだが、注文したメニューが珍しいと、常連さんから歓声があがる。
「ホットケーキなんてあるのね?」
「珍しい注文ね。」
「ゆっくりして行ってね。」
常連さんもママ目線だ。最近某アイドルさんがこちらで撮影をしたようだ。
「最近きた女の子、そこで食べて行ったよ。記念に撮影していきな」という。そのことを存じ上げなかったが、壁に雑誌の切り抜きが貼ってあり、可愛らしい女の子が黄色いシロップのかき氷を食べていた。結局どなたなのか不明のまま。
ジャコブスラダー再び。
ここからは船のマニアックな話になるのでお好きな方だけ...。
最近「海辺のカフカ」を読了した。
ひとことで言うと、文化の参考書のような感じで。文豪、作曲家やクラシック音楽のこと、哲学、名フレーズが随所に散りばめられ、知識があったらさらに楽しめるだろうと思いながら読んだ。心に刺さる名言も多数あり、優しく心を撫でてもらったような、救われる瞬間もありました。いって見れば、雲の割れ目から陽の光が差し込んでくるような気持ちになる本。この雲の割れ目から陽の光が差し込んでくるという表現は何度か本書に出てくる。
雲の割れ目から差し込んでくる陽の光とは、天国から降ろされたはしごのメタファーだ。聖書のヤコブの天使の梯子の事。このヤコブの天使の梯子のことを、英語でジャコブスラダーと言う。
このブログを最初から読んでくださっている方はお気づきかもしれないが、船の専門用語にも”ジャコブスラダー”がある。
ジャコブスラダーとは、船の脇に吊るされた縄梯子の事で、パイロット(水先案内人)が海上の小舟から船に昇るために使用する。この名称は聖書の”ヤコブ(ジャコブス)の梯子”が由来なのだ。
人生の碇
海辺のカフカ内では、他にも
人生を
碇を失った船のよう
だとか、
恋する胸の痛みを
その痛みは碇となって、僕をここにつなぎとめていてくれる。
などなど。船にまつわるフレーズが随所に出てくる。
人生の舵取りなど、人生を舵で比喩するのはよく見るが、碇の比喩は新鮮だった。
船好きを自称するものとして、とても興味深く読んだ。船がある程度動かないようにするには、鎖の重さや海底の地質も大事だ。きちんとつなぎとめられているのであれば、鎖の重みも、碇と海底の地質との相性も良かったのだろうと、考えていた。少しマニアックだと思った。
しかし......
海の底ってどうなっているんだ?
という文章をのちに見た時は驚いた。村上春樹氏はしっかり海底のことにも言及している。見たことのない人に説明するのは難しいから、水族館にいって説明する場面もある。
二人で水族館に行ってみようぜ。
しかし、水族館にいくことは叶わなかった。海底の謎は解けなかった。でも本書のテーマは、”結論がわからず白黒つかない人生を歩むことについて”であると思うので、海底の謎があきらかにならなくても、それはそれで良い。
地獄にホットケーキ
それから喫茶店好きの私にとって、とりわけ好きなフレーズがこれだった。
『地獄にホットケーキ』
とても重い石をひっくり返すある場面にでてくる。唐突にホットケーキと出てきたので釘付けになった。さらに調べると”地獄に仏”ということわざをもじったのだとわかる。(ちなみに、地獄に仏の意味は、”困窮しているときの願ってもない助け”)
地獄でホットケーキを見たら、地獄に仏なのは確かだ。困った時の助け船のようなものだ。読んでいるうちにコーヒーが飲みたくなり、ホットケーキが食べたくなった。ホットケーキが自慢のオンリーの記事で『海辺のカフカ』の感想を書くのは、素敵な偶然だと思う。
【2017年7月訪問】
【東京都:田原町】coffee オンリー 合羽橋店
今日はオンリー合羽橋店のはなしだ。
合羽橋道具街のユニオンコーヒーの角を曲がると、焙煎中のコーヒーの香りが漂う。
ひとめ惚れ必至の外観。合羽橋は月一程度で訪れるが、雑誌で紹介されるまで気づかなかった。通いなれた町で、未知の世界があると知るのが嬉しい。
店の前を過ぎると、長いこと愛用されたであろうレトロな機械でダイナミックに豆が焙煎されている。ついつい足を止めてしまう。外観はオンリー三店舗の中でも渋いイメージ。
田原町駅方面に少し歩くとパンのペリカンがある。最近映画にもなったので更に人気に拍車がかかったであろう。オンリー合羽橋店では、手に入りにくいペリカンのパンを使用している。浅草界隈はペリカンパンを使っている喫茶店が多数ある。10年以上前、ペリカンのパンを買いに行った時のこと。売り切れだったためお店の方に「近くでペリカンパンを卸しているお店はどこか」と訪ねたことがある。「たくさんありすぎて....」という答えだった。愚問だった。いまでは恋しくなったらすぐ行けるよう、ペリカンパンを使用している喫茶店は、幾つかリストアップしている。浅草ではオンリー、カリブ、フルーツパーラーゴトー。人形町ではロイド、喫茶去快生軒などなどがある。
ペリカンのパンはもちもちしていて美味しい。
オンリー三店舗の中でも、純喫茶紹介本にはこちらが取り上げられることが多い。オンリーロゴ入りのグラスとカップ&ソーサーもここで買える。奥の座席にはドラえもんが座っている不思議なゆるい空間だ。
↓ペリカンのパンはこれ↓
【2015年10月訪問他】
【東京都:亀戸】純喫茶 サヴォイア *2017年10月ごろ閉店*
今日の記事は、亀戸の純喫茶サヴォイア。実はすでに閉店している。
訪問は2017年の夏だった。いつか記事にしようと思い、下書きにいれておいたが、
この流れが多くて本当に寂しい。
『散歩の達人』2017年11月号(錦糸町・亀戸・大島特集号)が発売されたと同時期に閉店した。この特集にサヴォイアも取り上げられていたのだが。急なおしらせは、空のサンプルケースと、ドアの張り紙でわかった。
グリーンのふかふかのソファに希少な石材の壁。カウンター上のステンドグラス。最近ではめったにお目にかかれないタイプの純粋な喫茶店だった。手元には可愛らしいマッチがある。大事にしたい。
【2017年8月訪問】
2017年11月頃 閉店
【東京都:南千住】coffee オンリー 南千住店
今日の記事は南千住オンリー。南千住周辺は、三ノ輪や三河島など喫茶店が多く残る。
何もかもが穏やかで、自然で、体に心地よく馴染んでいた。
あたりはもうすっかり暗くなっていた。彼は急にコーヒーが飲みたくなった。そう思ってあたりを見渡すと、商店街から少し引っ込んだところに喫茶店の看板が見えた。近頃ではあまり見かけなくなった種類の、古風な喫茶店だった。彼は中に入りゆったりとした柔らかい椅子に腰をおろし、コーヒーを注文した。(略)その椅子に身を沈め、青年は久しぶりにホッとした気持ちになることができた。そこにある何もかもが穏やかで、自然で、体に心地よく馴染んでいた。運ばれてきたコーヒーはとても上品なカップに入って濃くてうまかった。(出展:『海辺のカフカ』村上春樹)
純喫茶な気分
先日とある純喫茶に入ったところ「喫茶店が好きなの?」とオーナーが話しかけられた「はい、好きなんです」と即答する。チェーンのコーヒー屋と純喫茶の珈琲は別物なんだよね。という話で盛り上がった。
上で引用したのは村上春樹氏の『海辺にカフカ』(下巻)。純喫茶のこういうところが好きだという理由が書いてるようで、付箋を貼り何度も読み返した。
この気分にハマる純喫茶がオンリーだ。三店舗あり、お互い近い場所にある。足立区の南千住店と台東区の千束店、そして同じく台東区の西浅草店(合羽橋)
魔性の純喫茶
コーヒーは濃くてうまい魔性の味だ。喫茶店独特のぽってり厚みのある白いカップ&ソーサーで出てくると舞い上がってしまう。看板にある”魔性の味”は本当に名コピーだと思う。厚みのあるホットケーキ。近所にあったらいいのに、と土曜日の夕方に遠出してきた私は思った。キュートな外観に懐かしいメニュー。本の中で描かれる喫茶店のような、私の憧れはここだ、というモデル店がオンリー南千住店だ。
【2015年7月訪問】
【東京都:南千住】純喫茶ラブ
今日の記事は南千住の純喫茶ラブ。南千住周辺は純喫茶が多く残る街だ。何軒もはしご可能かもしれない。住所は台東区になる。この日の足は、浅草からの都バスだった。
扉に中華系のオーナメントがあるが、インテリアはこの外観からは想像できない世界だった。シルバーが効いた宇宙船のなかのような。またはチューブの中に入り込んだ感覚か。ちなみにロンドンの地下鉄はTUBEと呼ばれる。つまりラブは宇宙船だとか電車だとか、銀色の最新鋭の乗り物に乗り込んだ気分になる。足を踏み入れた瞬間から気分がマックスになる。
常連さんたちがのんびりくつろぐというその世界がまたいい。
二人で来ていた常連さん。一人一個ずつ餃子のテイクアウトをオーダーしていた。でもママが調理に失敗したから一個分しか提供できないらしい。「いいよ、失敗したのでも味は同じでしょ?」「でもやっぱり売れないこれはダメ〜」というやり取りが聞こえ、微笑ましかった。
私のオレンジスカッシュは珍しい注文なのか「そんなメニューあるんだ!」と歓声があがる。奥の方にも座席が続いているようだ。奥はバーのような雰囲気だった。次回は勇気を出して奥の席に座ってみたい。この日はシルバーの空間を楽しみたく入り口近くの席についた。と言っても満席でここしか空いてなかった。人気のお店である。料理メニューも美味しいらしい。
昭和レトロ食堂にはおきまりの、麺を絡めたフォークが浮いたスパゲッティがサンプルケースにある。そのケース越しに町を眺めてみると外は長閑な夕方が広がっていた。
【2017年9月訪問】
【東京都:押上】珈琲 伽羅 *2017年末閉店予定*
今日の喫茶店は押上にある珈琲 伽羅。
よく見かけるKEY COFFEEの看板だが、このお店がKEY COFFEE監修の第一号喫茶店だという。
道路の拡張工事のため、お店の大半を取り壊すことになっている、と聞いた。今年中での閉店を考えているとのこと。奥には数十年前につくられた木枠のエアコンが圧倒的な存在感をはなっていたが、また一つ素敵な空間がなくなろうとしている。
特に定休日はないけど、用事がある時は閉めるけど、でもずっと開けているという。7月の時点での話。この界隈も観光客が増え、喫茶店のお客さんも多国籍になったという話に、時代の移り変わりをしみじみかみしめた。
好きなところを写真撮っていいよといい、わざわざ足を運んでくれてありがとう、と最後まで温かい接客に感激した。常連さんはこのマダムに会いたいのだ。上品で親しみやすい。お店の外観も圧巻で、飴色のシュガーポットのような琥珀色の窓ガラスが印象的だった。
年内までは営業するつもりとのこと。平成の年号も来春までということになったが、喫茶店にとっても節目の時期なのかもしれないと思う。思い立ったら吉日。喫茶店の出会いも一期一会だと実感するここ数日だ。何事もご縁を大事にしていきたい。
【2017年7月訪問】