【東京都:新宿】タカノフルーツパーラー新宿高島屋店 喫茶店のモーニング編
喫茶店のモーニングシリーズのつづき。
今日はタカノフルーツパーラーの新宿高島屋店だ。
こちらでは遅めの朝食として、平日10:00〜11:00まで1時間限定のブランチセットをいいただいた。月替わりでメインのフルーツが変わるようだ。6月はマンゴーだった。
明るくて清潔感あふれるお店だ。新宿高島屋は、オープンから20年ほどのデパートなので店内は新しいが、高野フルーツパーラー自体は、前身の高野商店から数えると120年以上の歴史があるとても老舗だ。
タカノは、今は航空会社のような制服でキリッとした印象だが、その昔は”衣装”のようなふわふわのジャンパースカートだった。甘い雰囲気で、ゆったりした作りで動きやすいし可愛い制服だった。
当時はフルーツみつ豆が人気メニューだったので、懐かしメニューを探したがなくなってしまったようだ。今でもフルーツみつ豆やフルーツあんみつが好きだ。もう一つのベストセラーであるフルーツミックスジュースは今でも健在だった。グレナデンシロップを底に入れてから果汁たっぷりのジュースを注いでいるのだが、これが本当に美味しい。
ブランチは、コーヒーまたは紅茶付きで1080円だ。フルーツサンド、ミニパフェやワッフルまでいろいろ楽しめてこれはお得だ。シャーベットの味が濃厚で、とろける美味しさとはこのこと。この平日ブランチは新宿高島屋限定だ。
窓から電車を見下ろしながら、朝から贅沢な気分になった。平日限定というのが少し行きづらいが、機会を見つけてまたいきたい。
【2017年6月訪問】
【東京都:浅草】カリブ*喫茶店のモーニング編 *ジョセフ・コンラッド ”闇の奥” 読了*
先日からの喫茶店のモーニングシリーズのつづき。今日は浅草のカリブだ。
ここはその名の通り、カリブの海賊を思わせる豪華客船のようなインテリアだ。
漆黒の客席が雰囲気満点である。何よりもトーストがペリカンのパンであるのがいい。モッチモチの食感はさすがだ。
なんでこんなに味わいが違うのだろうと、毎回感動する。
これは哲学小説か、はたまた青春小説か
さきほど、イギリス作家、コンラッドの『闇の奥』を本日読了した。コンラッドが船乗り経験者だからという理由で興味を惹かれた。先日の記事で、大学時代に本書を読んだことがあるものの、本の印象を覚えていないと書いたが、読み終わってみると、その理由がわかった。それは、当時たかだか20歳程度で、この本の深みに共鳴できるほどの器がなかったせいだ。課題書にふさわしい名作だ。哲学小説か、青春小説なのか。真逆のようだが、どちらとも受けとれる。
人生の精神的勝利とは。
人生の精神的勝利とは。この小説のテーマはそこにあると思う。哲学的に語られるこの小説は、若い頃に読んだとき、難しく感じたのはそのせいでした。抽象的なテーマであり、恋愛ものや単純な勧善懲悪ものではないからだ。前半と後半の印象がまったく異なるので、とちゅうでいやになっても最後まで読みきってほしい。
特にこの一文が印象的だ。
人生とは僕ら一部の人間の想像しているよりも、はるかに大きな謎だろう。(略)水晶の絶壁のように、透明純粋な魂から吐き出されたともいうべき、あの素晴らしい雄弁の反響を聞いたのだ。(引用:”闇の奥”中野好夫訳)
人生は謎である。そうだ。
しかもその大きな謎が解ける人はどういう人物か。以下にヒントがあった。
無数の敗北と、おそるべき恐怖と、忌まわしい勝利という代償によって初めて得られた(略)精神的勝利である。(引用:同上)
精神的勝利は、人生に確信があり率直であり、そして人生の闇に近づいたものだけが得られるものだという。深みがあり、心があるのは、文明か原始か。そしてどちらが墓場だというのか。
この小説内では文明の代表としてパリの貿易会社が、ぎゃくに原始の代表としてアマゾンの人々が描かれていますが、それは叙述のためであって、あまりそこにこだわらず読んでほしい。
あの墓場のようなパリに戻ったのだ。あの街を気忙しげに右往左往しながら、互いに零細な金をくすね合い、忌まわしい料理を啖い、有害なビールをあふっては、くだらない、愚かな夢を見ている群衆に対して、たまらない嫌悪を感じていた。(引用:同上)
SNSで心を病んでしまう現代人は、文明がいいものなのか墓場なのか。SNSを使っているのか、はんたいに使われているのか。攻撃的で気忙しく愚かな罵り合いをする文明でいいのか?今の時代に、疲れている人々にもピッタリのテーマだと思う。
精神的勝利とはなにかを確信したマーロウがあやつる船の様子に注目したい。
小説の前半では、潮の流れにさからって進む船の様子が描かれるが、後半では潮の流れにしたがい、二倍速ですすむ船の姿が描かれる。いったい生きやすいのはどちだろうか。マーロウは潮の流れに逆らうより、潮にのっていく人生を選んだようだ。
船乗りさんの気持ち
コンラッドは実際に船員だったので、彼なりの思いが込められた作品だと思う。断じていうが、私は船員を尊敬している。船員は一般の会社員とは少し異なります。専門職であり、技術職で特殊な仕事をしている。文明の利器である丈夫な船に乗っているが、自然と向き合い、ときには命がけの経験をしなくてはならない”超”文明な職でもある。万が一のばあい、船が一つの国のような役割をし、船長の権限が絶対だ。でも陸の貿易会社の職員にはそれがわからない。船員は原始的な存在だと思っている。コンラッドは、そこで〈文明と原始の葛藤〉の壁にであったのかもしれない。コンラッドは自らもコンゴに行き、この小説の元となった経験をしているようだが、実際に船にのった者だからこその、理不尽さを多少なりとも感じたことと思う。それはたたかわなければいけない相手が、人間ではなく、天候とか自然とかという意味でもだ。矛盾や葛藤がコンラッドを襲った。コンラッドは、じじつ30歳で船乗りをやめている。
理不尽な思いは誰でもする。だから『闇の奥』は現代でも、とても響く小説だと思う。人生の勝ち組負け組とは何か、大事なのは、文明なのか文明に負けない心なのか。考えさせられる。現代は『Heart of Darkness』だ。邦題は”闇の奥”だが、直訳すれば〈暗闇の中の良心〉だ
この本のテーマはきっとポジティブなのだ。『逃げるは恥だが役に立つ』と同じテーマだと思う。心の呪縛を解きましょうってことだ。闇の奥、名作だ。
青春小説と評したのは、”ひねくれた時、ものすごく純粋な物事に出会った時の、心がほどけていく気分を味わわせてくれる”小説だと思ったからだ。失った感受性をとりもどしたときにみずみずしさがあった。
人生の舵取りを順行にするかどうかは自分次第。
さて浅草のカリブですが、気にいって短期間に何度も通った。
週刊誌がたくさんあり、客船のようにきらびやかだ。休日のひとときに、ここの窓側で休むのが私の精神的勝利だ。
【2017年8月訪問】
【東京都:浅草】銀座ブラジル 喫茶店のモーニング編
喫茶店のモーニングシリーズの続き。今日は浅草の銀座ブラジルを紹介する。
ぴあMOOK喫茶店本制覇から始まった喫茶店巡り
2013年発行のぴあMOOK『東京喫茶銘店』を愛読している。掲載されているお店を全て廻ろうと決めたのが、喫茶店巡りをはじめたきっかけだ。ブラジルも掲載されているが、なかなか縁がなく、先日やっと念願がかなった。この本の〈ジャズ喫茶〉と〈美術館併設の喫茶店〉以外のお店は、ほぼ制覇した。掲載の喫茶店は、「くつろげるお店」というのがテーマだ。気の向くままに出かける。
14:00までモーニングのありがたさ
さてブラジルは、平日限定でモーニングは14:00までサービスしている。
朝遅く起きた日や、モーニングをはしごしたいときに、とてもありがたい。
この日はモーニング600円のセットを注文した。ブラジルはチキンバスケットが名物だが、なんとモーニングに揚げたてフライドポテトがついてくる。きのこ型の厚めのトーストに、サラダのニンジンはバラ模様だ。オンリーワンのモーニングだと思う。
銀のトレイに三角形のナフキン、ロゴ入りのコーヒーカップにもうっとりする。
船の冒険がテーマの小説がすき
ここ最近、ピエール・ロチの『氷島の漁夫』をはじめ、船員経験がある作家の作品を読んでいる。今はコンラッドの『闇の奥』を読んでいる途中。家の本棚の整理をしていたら出てきた。こんな本持っていたっけ?と思うが、教材として読まされたのだと思う。みごとに印象に残っていない。なぜ覚えていないのか。それは強制的に読むように言われたからだと思う。今なら私のど真ん中の傾向だし、真っ先に選びそうなものだ。
操船方法や海の描写は、さすが船員の経験がある作家ならではの筆致で、とても興味深い。
陰鬱な雰囲気なので、元気のない時に読んだら、ひきずりこまれそうな毒がある。
でも、英文学の講義でなぜ教材になったかがわかる気がする。
手元にあるのは数十年前の中野好夫氏の翻訳版なのですが、新訳もあるそうなのでそちらもチャレンジしてみよう。『闇の奥』は、映画『地獄の黙示録』の原作だ。
船員経験のある作家や、船での冒険がテーマの本に嵌っている。
行ったことのない都市が描かれている本、という海で漂白するのが好きなのだ。
【2017年8月訪問】
【東京都:浅草】クラウン 喫茶店のモーニング編
休日はどこに出かけるのか?とか、どこで遊ぶのか?という質問にずっと困っていた。なぜなら特定の出没スポットというものがなく、出かける先は、めあての喫茶店がある街だからだ。休みの前日に自分の頭のなかの喫茶店リストと相談する。行く、そして食べる。とてもシンプルだ。
今日の記事は、浅草のクラウンだ。
「休日によく行く街は?」の問いに「浅草」と答えれば無難かもしれない、と最近気づく。意外と出没率が高い。アンヂェラス、アロマ、カリブ、ローレル、サンパウロ、ハトヤにブラジル....のために浅草にきた。浅草は喫茶店天国だ。
今日から喫茶店で食べたモーニングの記録を綴ろうと思う。
浅草は喫茶店密集地だけに、各店がありがたいほどのサービス精神を発揮している。
クラウンも、わりと遅くまで、12:00までサービスがある。
この日は、迷わずBのホットケーキセットを注文する。喫茶店のホットケーキが好きなのだ。小さめのホットケーキで、朝はこれくらいがちょうどいい量の2枚。可憐な生クリームとフルーツが添えている。メープルシロップも付いてきた。さいしょは何もかけずに生地だけを食べるのを流儀としている。でも夢中で食べていたら最後までシロップをかけるのを忘れていた。でもバターとクリームだけでも美味しかった。
酸味のきいたブレンドは喫茶店らしい味わいだ。店内は異国情緒溢れていた。
浅草という地が、他と雰囲気を異にするのは、外国人観光客が多いことだろう。
日本が誇る老舗JAPANESE CAFEを選んでくれるのは、私も嬉しい限りだ。
せっかくだから独自スタイルのお店に入って欲しいと思う。クラウンなら間違いない。店内には2階にも座席がある。階段に置かれた看板には「どうぞ おあがりください」の文字がある。乙女フォントがかわいい。
最近気づいた新しい特技がある。テレビの街頭インタビューが行われている場所を、背景に映り込む喫茶店の看板で特定できることだ。先ほども浅草と、武蔵小山の商店街を当てたところだ。ドラマの撮影地やロケ地も、同じ理由でだいたい当てられる。喫茶店のシーンが出てきたら、どこのお店か当てる。そんな能力うらやましくないと言われるかもしれないが、自己満足している。
【2017年8月訪問】
【東京都:大久保】トリアノン 大久保店
先日からの洋菓子店シリーズのつづき。今日はトリアノンを紹介する。
すっかり日が短くなった晩夏のこと。散歩にもってこいの季節だ。
夕暮れが宵と交代する時間がいい。
気がすむまで町歩きをする。散歩にもってこいの季節だ。
永遠の乙女心のプリンアラモード
トリアノンはグリーンの看板に黄金色のフォント文字が映える老舗洋菓子店だ。
各店ごとにイメージカラーがあり、高円寺店は赤が印象的だ。三鷹店はフランスマリンテイストの赤と白の看板だ。トリアノンの店頭に並ぶお菓子はもう秋色だった。
パンプキンやモンブランなど、暖色系のほくほくが恋しくなる季節だ。
ケーキも美味しそうだったが.....今日のめあては銀のトレイに乗ったプリンアラモードだ。喫茶メニューのプリンアラモードの提供は、大久保店のみだ。
プリンモードこそ、永遠の乙女心が詰まったデザートだと思う。小さい頃、駅前の喫茶店の窓側で、毎週日曜日に食べさせてもらったいた。日曜日の穏やかなおやつの時間だった。
喫茶メニューのプリンアラモード 大久保店だけ。
ショーケースに陳列されているプラスチック容器いりのプリンアラモードもあるため、「喫茶メニューのプリンアラモード」と注文したほうがいい。でも念のため店員さんは再確認してくれた。ちなみにこれより小ぶりの、チョコレートプレートとアイスの乗っていない「プリン」というメニューもある。
小さめの銀のお皿にプリンとフルーツとホイップクリームがのった憐なデザートだ。
プリンとホイップクリームはトリアノン自社工場製のもの。
硬めのプリンが好みなので美味しい。心がとろける美味しさだ。
ケーキショーでの受賞数がすごいパティシエたち
トリアノンは、昭和35年創業で57年もの歴史があるお店だ。
奥に喫茶コーナーがある。
向かって右が好みの空間だ。味わいがが出た飴色のインテリアが好きだ。
床の模様も昭和なデザインだ。57年も愛されるのにはちゃんと理由があって、
所属のパティシエさんが毎年のようにジャパンケーキショーで賞を受賞しているようだ。受賞項目を見ると「デコレーション部門 バターケーキ仕上げ」での受賞数が多い。昔懐かしのバターケーキは、ここに来れば間違いなく美味しいものがいただけそうだ。
喫茶コーナーでプリンをオーダーしているスーツの紳士がいた。
帰宅前のほっとする一息なのかなと思うと、なんだか微笑ましい気分になった。
【2017年9月訪問】
【東京都:西荻窪】こけし屋*鳴子温泉の思い出*
先日からの洋菓子店シリーズを綴る。今日は西荻窪のこけし屋さんだ。
鈴木信太郎画伯のゆるかわな包装紙が欲しくて少しずつ集めている。
看板が、通りと裏通りの両方にあって見ごたえがある。かわいい!
民族衣装が好き
切り絵細工のような葉の隙間から初夏の日差しを讃える。
2階の窓側にはこけしが並んでいる。西洋菓子店で東洋のアートが出迎えるスタイルはめずらしい。民族衣装が好きで、包装紙の女の子の衣装にとても惹かれる。
PIE BOOKS『世界の衣装』という写真集が好きでよく眺める。そういえばこけしが着ているのも日本の民族衣装だ。こけしの良さに気づいてなかった。
鳴子温泉の思い出
こけしといえば、宮城県の鳴子が思い出される。画像検索してみたら、いろいろなこけしグッズがあって楽しそうだ。紅葉の季節はもうまもなく。落ち葉を踏んだ時のクシュクシュという音が好きだ。『マツコの知らない世界』で、紅葉スポット第1位に選ばれた鳴子郷の紅葉の見頃まであと少しだ。10年ほど前に、旅番組で観た鳴子温泉のぬるぬるのお湯に惹かれ、ふと思い立って新幹線で出かけたことがある。
紅葉スポットはJR陸羽東線、鳴子温泉駅と中山平温泉駅の間にある。
壮観だった。確か日帰りで〈うなぎの宿の湯 琢ひで〉に行ったと記憶している。
..... 今、番組のアーカイブを探してきた。あった。やはり琢ひでだった。
朝一のやまびこ号にのり、古川駅で乗り換え、JR陸羽東線で鳴子温泉に行ったのだ。
帰路の時刻を確かめ、日がな鳴子で散策した。
東京-宮城-東京の日帰り旅行だった。せっかくの記憶を忘れるところだった。今ネットで思い出す作業もできるが、やはり自分専用のブログに残せば思い出せる。
だから写真を撮り、ブログに書いている。
いつか忘れた頃にまた行きたくなったときのためブログに残す。
思い返すと、思い立った翌日に旅に出るなんて、なかなかできない。
けっこう贅沢な遊びをしていたな。
りんごほっぺの子供って今....
この日は、銀色に縁どりされたレトロなケーキ皿で提供されたリンゴの丸いケーキを注文した。そういえば、りんごみたいなほっぺたのこどもって最近見かけない。
可愛いイラストのコースターも記念に持ちかえった。鈴木信太郎画伯のグッズ、学芸大学の洋菓子屋さん〈マッターホーン〉や長崎銘菓クルスの缶などで、すこしずつ集めている。
6月に伺っています。こちらは、3階のフレンチのメニューのお知らせ。
【2017年6月訪問】
【東京都:淡路町】近江屋洋菓子店 神田店
先日からの洋菓子店シリーズ。今日は近江屋洋菓子店 神田店を紹介する。
訪問日は、2015年の5月の土曜日だった。外では神田祭りが開催されており、
半纏を着たいなせなお兄さまたちが店内で休憩していた。5月場所の成功を祈念し、お相撲さんが挨拶回りにきていたのも風流だった。とても神田らしい風景だ。店さきに〈神田祭〉と書かれた提灯が飾られ、歴史あるお祭りと老舗洋菓子屋さんのコラボレーションに雅を感じた。気ままに喫茶店に巡り、こんな偶然があるなんて。だから喫茶店めぐりは楽しい。
5月場所の〈場力士一覧表〉をいただいた。記念に写真をとる。
この日だけの風景だ。
近江屋さんに来ると、いつもこの食べきりサイズのホールショートケーキを頼む。
この形がいいのだ。ホールケーキをひとりで全部食べるという夢が叶う。
近江屋さんのモットーは、質は良いけれど気取らず、子供がおやつに気楽に食べられるようなケーキ作りをする、なのだそうだ。ショーケースに並ぶケーキは、サバラン、アップルパイ、シュークリーム、プリンやゼリーなどなど。乙女チックな雰囲気に包まれ、カップに描かれたパラソルの下の女の子になった気分で、優雅な時間を満喫した。
【2015年5月訪問】