【東京都:押上】珈生園
ほっとミルクセーキ
今日は喫茶 珈生園のお話。東京スカイツリーの真下といってもいいほどの場所にあるお店。
この建物と茶色のスケルトンの扉がノスタルジックだ。入店するとみかけない顔の私に「どこから来たの?」とマスターがニコニコしながら聞いた。カウンターに腰かけてテレビを見ていたマスターと、備え付けのテレビで再放送のドラマを眺めていた顔なじみのお客さんが一組だけの空間だった。そこ足を踏み入れると、ほっとして落ち着いた気分になった。ここでしばし読書に耽った。
ホットミルクセーキ、なんてなつかしい。温めた牛乳の膜に卵黄が絡まっていて風邪をひいた時のたまご酒のような感触だ。ここは書籍にも掲載された本だし、観光客がたくさんくる土地柄、一見さんも温かく迎えてくれるようだ。緩くてほのぼのした雰囲気が漂っていて素敵だった。
ここから喫茶店巡りに関する独り言
珈生園さんとは関係ないが、喫茶店の中には、雑誌掲載やテレビ取材を積極的に受けるお店もあれば、取材NGのお店もある。その理由はどちらも理解できる。
喫茶店を巡っているうちに、メディアに出るお店の理由がなんとなく見えてくる。お店側がその対策をしているとか(充分な人員を配置しているとか)、人を受け入れる雰囲気の町だとか、お店の人が器用であるとか、そのほかいろいろ。逆の理由もなんとなくわかる。混みすぎたら接しきれなくて困るだとか、少し商売するのは不器用なタイプかもしれない。だけどもそういうタイプのお店は、派手に表に出てこないけれど行ってみたら素敵だと思うことが多々ある。メディアに出たら好き勝手なことを書かれて嫌な思いをしたからという理由もあるかもしれない。
メディアに取り上げられることが多いお店は有利だけど、出てこないお店にもたくさん出会いたい。自分に波長の合うお店は、雑誌ではわからない。喫茶店に興味がある人には有名店だけじゃなく、ピンときたお店に入ってほしい。
個人経営の喫茶店が、後継者不足や区画整理のためにひとつひとつ消えて行くことに切なさを感じる。理由はさまざまだろうが切ない。でもなんでこんなに喫茶店を追い求めるのかの理由は、「まだある、まだある。健在でよかった!」と安心したいからなのかもしれない。
行ってみて自分で好きなお店を感じて欲しい。良い出会いのチャンスを逃すのはもったいないと思う。ただ個人経営の喫茶店は、食○ログなどに載っていないこともあるし、そもそも営業について知る機会が少ない。ひっそり閉業ということを事後で知ったりする。だから私は今現在の喫茶店の営業状況を、まだやってるよ!と現状を綴ることが意味があるのかなと思う。
自分でゼロから調べたお店じゃなく、喫茶店巡りの諸先輩の後追いだが、現状報告という意味あいで書くスタイルでもいいと思っている。
お酒が飲めないから、ふらっといけるスナックやバーのようなものが欲しいとも思う。気軽にだれかと会話をしたい。ホッとしたい。なつかしいメニューが食べたい。喫茶店にくる理由はいろいろだ。
行って良かったという喫茶店の現状や、そのとき感じた気持ちを綴っていきたいと思う。
【2017年7月訪問】