【東京都:淡路町】珈琲 ショパン 喫茶店の旅 丸ノ内線全駅制覇の巻その19*淡路町*
ショパンは神田須田町の喫茶店。東京メトロ丸ノ内線の淡路町駅か、
都営新宿線小川町が最寄り駅だ。淡路町といえば池波正太郎さんを思い出すが、
この界隈は老舗の建物が多く、雰囲気がとても良い。
外国からの友人が東京観光したいといったら、この界隈を案内するようにしている。
喫茶店好きにも、この周辺は丁度いい。いい喫茶店がギュギュッと凝縮して存在してる。行きたいお店リストをアイフォンのメモに書き留めているが、
情報が増えるにつれ、消化しないと落ち着かなくなってくる。
早く現物を見たくて、ウズウズするのだ。
そのウズウズを解消するには、やはり行くしかない。
神田辺りは、このウズウズ症候群解消にぴったりの街だ。
喫茶店が多く、一気にはしごができるのだ。
駅で言うと、淡路町、小川町、御茶ノ水、神保町、本郷三丁目などなどがこの徒歩圏内にある。徒歩でなくとも、地下鉄の乗り降り自由な一日券を買えば便利だ。
どちらかというと必要のないことを書こうと思う。
最近北杜夫さんの本に嵌っているが、『どくとるマンボウ航海記』のあとがきにこんな趣旨の事が書いてあった。
どちらかといえば書く必要のないものを書いていこうと思う
ガイドブックのようなものより、必要ない情報こそ読者は見たいのではないか。(意訳)北杜夫「どくとるマンボウ航海記」
『どくとる〜』は、北杜夫さんの体験記だ。
この本は、船内や海外の港町での出来事を綴ったエッセイだが、当時は日本人の海外旅行の自由化が開始される以前なのであることを念頭においてほしい。海外旅行記が珍しいのだ。でも、著者のエッセイは、観光の記録というより、
その他のたわいもない感想で埋め尽くされている。
そこがいいのだ。些細な身の回りの話が聞きたいし、楽しい。
本筋で取りこぼした隙間も大事
私のブログも。喫茶店自体の話より、行くまでの高揚感とか、本筋でない話で終始している気がする。
ショパンだって、せっかく素敵な建築なのにデザイナーの事や、クラシック音楽のガイドはできない。この喫茶店から連想されるべつの出来事や、喫茶店に滞在したとき感じたことなど、とるに足らない独り言を書いている。でもそれでいいと思っている。
音楽の授業って何のためにあると思う?
そこで、ショパンにまつわる話を思い出した。
音楽といえば、中学時代に音楽教師が話してくれた話がとても印象に残っている。
「音楽の授業は何のためにあると思うか?」と聞かれた。
私は(心の声で)「どの音楽家がどんな曲を作ったかなど、音楽史を学ぶためだろうなぁ」としか思わなかったが、答えは意外だった。
「音楽の授業は、心を豊かにするためにある」というのだ。
その考え方、いい意味でカルチャーショックだった。音楽は心地よいかどうかが大事だ。人間の心の隙間に染み入り、なんとなく直感でときめいたりホッとしたり元気が出る音楽がいい。難しく考えるのをやめた私に残されたのは、作品名の記憶じゃなくて、聴いた時の満ち足りた気分だけ....。
音楽の授業で学ぶのは、歴史でもなく、作品と音楽家を結びつけるための暗記学でもない、と悟った私は、その日から直感でのみ音楽に親しんでいる。
せっかく、珈琲ショパンに来ておきながら、ショパンの曲紹介ができないのが残念だが、不案内である。
赤いビロードのソファに沈みながら、この空間にふさわしい、丁度いい音楽の中で気持ちよく漂うことができた。音楽が心の隙間を埋め、心を満たすものだというように。
このブログのなんらかの記事が、音楽のように誰かの心の隙間にすっと入ったとしたら、それは最高だ。
オリジナルメニューは強し。
最後にメニューの紹介を...。音楽は詳しくないけど、ショパンは好きだから何度も通っている。一度めはアンオーレをオーダーした。
ミルクにあんこを入れて混ぜたものだ。ミルクにあんこという組み合わせは、女性に嬉しい飲み物だと思う。カルシウムに加えて、あずきはむくみに効くらしい。カフェインが苦手な人もいけるオリジナルメニューだ。次の訪問でやっとアンプレスをオーダーできた。両面バターが塗られプレスされたホットサンドは、ジュージューと揚げ焼きのように香ばしくなっている。塩っ気と甘みとが最高だ。禁断のカロリーオーバーである!それと、オーダーを取る前に「うちのブレンドは濃いです」といわれる。そ言うほど濃いものってどんな味なのでしょうね。そこまで言われると気になる。
お店にあった神田のガイドブックで、ショパンが紹介されていた。
読みながら店内を眺め、キョロキョロしたので、きっと怪しかったに違いない。
【2015年9月他】