純喫茶丸 8knot    〜喫茶店で考えた〜

2015年からの純喫茶訪問ブログ。純喫茶をはしごする船ということで”純喫茶丸”という船の名前がタイトルです。

【千葉県 千葉みなと】かふぇてらす くに マッチとジャズの国

今日から港の喫茶店シリーズを綴る。日本の港は数あれど、
思い入れのある港を再訪しようと思う。

しばらく、港近くの喫茶店の連載をしよう。まずは千葉港だ。国際貿易上、とにかく大事な港だ。好奇心旺盛な読者の皆さんは、それは日本にいくつあって、 あとはどこなの?と気になるかもしれない。
しかし 諳んじていないことは割愛したい。

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さて、本題の喫茶店の情報に移ろう。〈かふぇてらす くに〉は、
千葉みなと駅近くの喫茶店だ。千葉CCプラザの地下食堂街にある。
この建物には入国管理局がはいっていて港らしさ満載だ。
とある情報筋から、ここにマッチがあると聞いたので訪問した。

マッチを所望したところ、もう作っていない貴重品だよ、とのことだがいただけた。
無理を言ってすいません!でも、おもいがけなくマスターと意気投合した
マスター自身、マッチコレクターだったので、喫茶店を始めたのだという。

マスターはジャズピアノの奏者だが、かけているBGMはオールディーズだ。
ジャズは夜の雰囲気で、昼間は楽しい気分のがいいからねとのこと。
訪問したのがお昼時だったので、お忙しそうだったが、
調理しながらず〜っとマッチと喫茶店愛を語るご主人だった。

壁のチラシに目をやると、〈お話好きのマスターと語らう会〉というのがあるらしい。

へぇ〜若いのにねぇ。いい趣味だねと、喫茶店巡りをしていることを伝えると、
たいての喫茶店のご主人からいい趣味だ、と言われる。だって喫茶店が好きからだ。

 

ランチタイムに続々と作業服を着た人たちがはいってくる。
港で働いている人か、とマスターに聞くと、ショッピングセンターの引越業者だという。どちらにしても作業服はかっこいい。

話を進めるうち、マスターは千葉みなとの喫茶店(飲食店?)組合の会長だということが判明した。

マスターから千葉港周辺の喫茶店の情報が知れそうだ。

 

ここは、マスターの情熱がつまった“くに”だった。
マッチもジャズもマスターのトークも、個性に溢れパワフルだった。f:id:saria444:20170418005442j:plain 

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千葉港に行ったのにポートタワーに登らなかった。
今度また行こう。

【2017年4月訪問】

【東京都 新橋】ジャパン*閉店*

新橋周辺の喫茶店シリーズをお届けする。ジャパンは西新橋にあった喫茶店だ。
このブログではじめて過去形をつかう。書こう書こうと思っているうちに、閉店していくお店がある。残念ながら、ジャパンもその一つだ。 

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どこかに行く途中に見つけて、温めて温めてやっと訪問したことを覚えている。
この看板と同じデザインの日の丸マッチがあると知り、どんな世界が見れるのかと
地下まで胸を躍らせて降りて行ったのが、2年前のことだ。

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急いでいる時は注文も選ぶ時間が惜しく、アイスコーヒーを頼むのが常だ。
この日も、滞在時間はおよそ10分程度だった。

今度は、ゆっくりランチにゆっくり訪問しようと思っていた。

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閉店を知ったのは、すでに永遠のシャッターがおろされた後だった。
新橋にはその他にも、閉業までに間に合わず、いけなかった名店が多数ある。
〈ヴァィオレット〉に〈花〉
いつかそのうちじゃ、ダメなんだ...。

 

ところでジャパンと聞くと

♪エキゾチ〜〜〜〜ック というメロディーが反射的に浮かんでくる。
謡曲やJ-POPの歌番組がむかしから大好きだ。ナツメロだって歌える。

 

私の周囲にいる船乗りさんは、船内エンターテイメントとしてカラオケが好きだという人が多い。

たまに宴に同行させてもらうと、2次会はカラオケというのが鉄板だ。
加山雄三さんの〈光進丸〉と〈海よ〉がうたえれば大丈夫だ。
あと〈宙船〉は喜ばれる。

西新橋にかつてあった喫茶店ジャパンには、行きたいけど叶わないから、
思い出そう。
今度は、♪エキゾチ〜〜ックというメロディーがラジオやテレビで流れたら、
かつて西新橋にあった、ジャパンの赤い日の丸を思い出そう。

 

【2015年5月訪問】

 

【東京都 内幸町】 ジョリーコアン 境界の喫茶店

新橋周辺の喫茶店シリーズをお届けする。
ジョリーコアンは内幸町駅前にある喫茶店だ。

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いつかの内幸町の空の写真をみつけた。
航空会館を訪問するために内幸町に初めて降りたのは、もう何年前だろうか。
この辺りが勤務地になり、お馴染みの街になるなんて、その当時は思わなかった。

ジョリーコアンは内幸町と西新橋の境界にある。

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駅近だから、フラッと立ち寄れそうだと思いきや。
平日のみの営業なので、近くて遠いお店だった。まだ1回しか訪問できていないのだ。

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ところで、船員さんたちは、洋上に出ると、
すきなときに思い立ってどこかにいくことができない
珈琲とか飲みたくなったらどうするの?、とはわたしがおもいつきそうな疑問だが、
他の人も気になっていたようだ。

船員さんは、喫茶店やお気に入りのカフェにはおいそれと行けないが、
それを上回るメリットがたくさんある。

私が聞いたなかで素敵だなと思ったのが、ある日、デッキに人が入れるほどのドラム缶にお湯を張り、温泉の素を入れ、DIYで露天風呂(?)をつくったはなしだ。

なんとも楽しそうま和気あいあいとした姿が思い浮かぶ。

〈海が見える露天温泉〉なんて、!どこぞの旅館が惹句にしたいくらいだそろうが、

デッキで露天風呂を用意すれば、見渡す限り全部海だ!
つい最近、日帰りでいってきた熱海では、海が見える温泉に行ったが、
天然の洋上にはかなわない。

www.micuras.jp

 

船員さんは普通の人ができない、貴重な経験がたくさんできるのだ。
さてコーヒーの件だが、船内でもコーヒーは飲めるようである。
コーヒーメーカーが設置されている。それに、世界中の船食屋さんから珈琲がかえるから、世界中の豆が飲めるので、それはそれでうらやましいはなしかもしれない。

 

 

【2015年5月訪問】

 

【東京都 虎ノ門】サムスン 98%

新橋周辺の喫茶店シリーズをお届けする。サムスン虎ノ門にある喫茶店だ。 

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土日祝休みのお店なので、平日のランチタイムに駆け込んだ。全面喫煙可だから、
ほぼ全員が煙草をすっている。この界隈で喫煙できる場所はありがたいはずだ。
タバコの煙は苦手だが、行きたさが勝った。

同僚は、非喫煙者が多いので誘うのが気がひけたので、ひとりランチにした。
窓の大きい喫茶店で、夏の避暑地の喫茶店に来たようだと思った。

さて、船員あるあるに移ろう。みなさんは職業〈船員〉と聞いたら、
何をしてる人って思いますか。船員さんたちは大抵、漁師?とききかえされるらしい。

 「船に乗っている」ときいて、公園に浮かんでいるスワンボートの運営か?
ボートレースの選手か?といった面白回答をした人もいた。

 私の周りにいる船員さんは、貨物船の航海士か、または機関士である。
じつは日本の輸出入の98%は、船で行われているのだ。
海外旅行、あるいは個人貿易の経験があれば、船便で荷物を送ったこともあるだろう。
そのためのコンテナ船輸送もある。

自動車、工業原料、エネルギー資源などなど沢山のものが船で運ばれている。
でも、船の中で荷物を守る船員の存在は、あまり知られていないと思う。
荷崩れしないようにきちんと監督している船員さんを。

特に海のない都道府県に育ったら余計かもしれない。
飛行機のパイロットの方が知名度が高いと思う。正直、かつての私も知らなかった。

次世代の子供たちは船の見学をして、たくさん社会科見学してほしい。

さてこの日は、コンビーフサンドを頼んだ。材料やコーヒー豆だって輸入品である。
ころんと厚みのあるサムスンのロゴ入りカップが可愛いな、と思いながら
そんなことを考えていた。

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【2016年5月訪問】

【東京都:内幸町】草枕

新橋周辺の喫茶店シリーズをお届けする。
草枕は、虎ノ門駅または内幸町駅が最寄りだ。

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割烹料理屋さんの居抜きだろうか。ここが〈草枕〉という名の美味しい珈琲をだすお店
だと知らないと見逃してしまうかもしれない。

おっと、でもこの筆書きの看板が目に留まったら、足を止めてしまうだろう。

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 「智に働けば 角が立つ。情に棹させば流される。
意地を 通せば 窮屈 だ。とかく人の世は住みにくい」
これは、夏目漱石著 『草枕』の冒頭の出だし部分だ。

こんな気分になった時こそ、喫茶店草枕〉に来るといいだろう。
マスターの声が柔らかく、包容力がある。

カウンターに座る人は、誰もがマスターに話しかけたい様子だった。
決して人の話を否定をしないのだ。
押し付けがましくもない。
ナチュラルセラピストのようなマスターだ。

それに大量の本の前でコーヒーを飲むのは幸せである。
ここで『草枕』を読んだら、趣があるだろう。

カウンターにならぶ文庫本のタイトルを見ているうちに、
人差し指が勝手に動く。
文庫本の表紙と棚の隙間に人差し指をいれて、
反射的に本を取り出していた。

 

池波正太郎さんの美味しそうな本(内容が)や、きのこの本や、グルメエッセイに
まだ読んだことない日本文学がある。
本をインテリアにするのは素敵だけど、このお店のはただのオブジェではない。

全てのセレクトに筋が通っているのだ。本をつまみに珈琲が飲めるのはなんと楽しいのだろう。

 さぁ船のはなしをしよう。海上勤務のお話である。 私の周りにいる船員さんたちは、
1年弱を海上で過ごし、自宅には戻らない。

船が職場であり、船が寝床である。その間ほぼ同じメンバーと過ごす。
息抜きしたいときはどうするのだろう。

想像しきれないけど、やはりそのうちのひとつは、食の時間なのではないかと思う。
食卓だ。ご飯の時間は和気あいあいだ。乗り合わせるのは、日本人だけではない。

船内のコミュニケーションといえば、英語は、あとはフィーリングだ。
船員さんってすごいのだ。勢いと気持ちで伝わっているのである。

そんな彼らにとって、英語とも日本語ともいえない、〈船乗り用語〉と呼ぶべき
国際語がある。

最近聞いた話だが、食事のことは、”ちゃぶちゃぶ”といえば通じるらしい。
どこかで聞いたことがあるな。そう、日本のちゃぶ台が由来らしい。
ちゃぶちゃぶという響きがおもしろい。

なんともホッとする言葉ではないか。

ご飯だよ〜。
ちゃぶちゃに

海上の狭い空間で、故郷や家庭から遠く離れ、
ともに食事をしたりコーヒーブレイクをしたりする時間は、ホッとするひとときだろう。

ここで迎える転流時、時の瞬きにさらわれないよう心をリセットしよう。心が洗われるお店だ。

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【2015年8月訪問:他】

【東京都:虎ノ門】珈琲舎バン 虎ノ門店 最高の潮時

新橋周辺の喫茶店シリーズをお届けする。〈バン〉は虎ノ門にある喫茶店だ。
ビジネス街のレトロなオフィスビルの地下食堂街にある。ひょんなことからであった。

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 ここも私の潮待ち場所だ。潮汐については、占いが好きなこともあり、満月と新月の日を意識している。

月の影響で潮の満ち引きが起こること。 その感覚は、船の世界では最重要である。

 「潮時」という言葉は

「物事の終わり」

というニュアンスで使用する人が多いと思う。

船の世界に身をおいて、そのことばに初めて意識を注いでみた。

 

「潮時」という言葉は、

終わり、というよりも”ちょうど良いタイミング”という意味で使う。
つまり最高潮=潮時だ。

潮時は、切なくではなく、楽しみに待つものだ。 
この喫茶店も私の潮待ち場所である。

新橋周辺の喫茶店は、潮時を待つ場所としてたいへんお世話になった。
赤いソファとグリーンのタイルのテーブルが統一感があり素敵だ。
ちょうどいい場所で、ちょうどいい時間を過ごせる場所だ。

さぁ、コーヒーゼリーが来た。気分は最高潮だ。

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この日のお供は『焼き餃子と名画座 わたしの東京 味歩き』平松洋子著)だ。

 

平松さんの、思わずお腹がすいてしまう表現力に感服だ。

【2016年12月訪問】

 

【東京都:虎ノ門】フーガ 虎ノ門で潮待ち

新橋周辺の喫茶店シリーズをお届けする。フーガは、虎ノ門にある喫茶店だ。 

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ビルの谷間の地下にある町の喫茶店だ。
こんな感じのお店を虎ノ門で見つけた時の感動たるやご想像いただけるだろうか。

モチーフは音楽のようだ。階段の踊り場にある看板はバイオリンと、ト音記号だろうか。シルバーなのがシャープな音色が聞こえてくる

インテリアをみると、アットホームな喫茶店という印象だ。
この加減が、肩の力が抜けるし安心感がある。

虎ノ門周辺は、おしゃれだったり、かしこまったりガヤガヤの居酒屋か(それも好き)、逆に老舗すぎて肩肘張ったりしてしまう。

だからこそ、こういうスタイルの存在はありがたい。

 

 さて、私がここで過ごしたのは〈潮待ち〉のためだ。
潮待ちというのは、船員用語だ。現場で日常的に飛び交っていた

私の好きな専門用語のトップ3だ。
本来の意味は
”潮流を利用して、航行する船が潮流の向きが変わるのを待つこと”だ。
面白いことに、船に対してではなく人間に対しても使うのだ。
”時間つぶしする”という意味だ。

 例えば、アフター5(6?)に待ち合わせがあるとする。

それまであと小一時間ほどあって、社内で手持無沙汰にしていると、
社内ではこんな会話がなされる。

「お疲れ様。まだ残業してるの?」

「いえ、待ち合わせまで潮待ちしています」と。

 ここフーガでは、まさになんどか「潮待ち」をした。業務後の習い事まで、時間が少しあったからだ。

ちなみに「潮待ち」という言葉には、楽しみであるというニュアンスが含まれる。
気乗りしないことを待つときには、使わないそうだ。

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潮待ちで1時間弱を過ごしたフーガである。この当時は、能町みね子さんの『きまぐれミルクセーキ』を読んでいたので、ミルクセーキをひたすら頼んでいた時期だ。

新しくはいったバイトらしきお姉さんが、ミルクセーキを作るのに、奮闘していた。
おいしかったので、この味をぜひ守り続けてほしい。

というわけで、この日のお供は『きまぐれミルクセ〜キ』 (能町みね子著)だ。

【2016年6月】