【東京都:築地】愛養
今日も築地の喫茶店を紹介する。
珈琲の店〈愛養〉は、築地場内の喫茶店だ。
横並びのカウンターのみの細長いお店である。
グラスに入ったミルクコーヒーが好きで、毎回オーダーしている。
青いタイルと整列した白いお皿もグッとくるインテリアだ。
営業時間の関係で、なかなかタイミングが合わず、
いきたさをグッとこらえていた。
店名の意味が”愛を養う”というだけあり、
会えない時間でこのお店への愛を育てていた。
遠出を控えた今年のGW、喫茶店ともう一つの愛すべきものに没頭することにした。
それは船と海の物語だ。
『白鯨との闘い』という映画を見た。
ハーマンメルヴィル作『白鯨』に出てくる、捕鯨船〈エセックス号〉の真実を描いた作品だ。
単に海洋文学が好きで選んだ作品だ。
ロン・ハワード監督作品だし、パッケージにいたクリス・ヘムズワースがかっこよかったからという単純な動機だった。
本当にそれだけだったがのに、予想以上にはまってしまった。
まず船長と一等航海士という二人の男の物語という筋書きがいい。
一方は、持っているのは血筋と家柄だけで、自信も実力もないのに船長になってしまった男と、もう一方は、実力も資質もあるのに見えないガラスの天井のせいで、船長になれない男の話だ。それぞれに葛藤がある。
いつの時代にも、隣の芝生は青いという思いがある。
もちろん、帆船出航までの描写にも引き込まれる。
船の専門用語が生きている。
この映画にあるような帆を張る作業は、現代の大型船にはほとんどないけれど、
”anchoring作業”はいまでもある。
Haul short the anchor. 錨を巻け!
Crank away on the windrass. 全力で鎖を巻け!
などが、参考になるセリフだろう。
海洋小説を楽しむ際、船のしくみを知っていると楽しみが増えるものだ。
それから、こんなセリフも印象に残った。
You can have all voyages under your belt.
航海は君の経験にかかっている!
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息抜きで映画を見ようとしても、どうしても言葉を集めてしまうので、
とことんまでリラックスできない。
これは性だからしょうがないので......。
またどこかに喫茶店にでもでかけて、頭を空っぽにする時間を作りに行く必要がありそうだ。
【2017年6月訪問他】