【東京都:築地市場】センリ軒
今日も築地市場の喫茶店をお届けする。〈センリ軒〉だ。
この佇まいは貴重である。カツサンドの評判が高いので、ミーハー魂でオーダーしたが、プリンも昭和の姿をしており惹かれる。
さてGWでハマった映画は『白鯨との闘い』だ。
(2015年公開:原題: In the Heart of the Sea 監督:ロン・ハワード、主演:クリス・ヘムズワース)だ
クリス・ヘムズワーズ演じる一等航海士オーウェン・チェイスがかっこよすぎる。
ストーリーがよいのも俳優がよいのもさることながら、
わたしは相変わらず海のことば集めに興じた。
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本作で、一等航海士の訳語が二種類登場する。
First officerとFirst mateだ。
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Officerは士官を意味する。船内構成員の中でOffcierと呼ばれる人は限られている。
Cheif Officer/First Officer/Second Officer/Third Officerだけだ。
企業のCEOやCFOなどのOfficerと同じであり、責任者的意味合いが強い。
先日、パックンがAERA dot.で
階級にかかわらず全ての警察官をPolice officerと呼ぶ。
と紹介していたが、それは外部(=市民)の目線でいうとすべての警察官が責任者だから、ではないかと思う。
消防士は英語で「fireman」じゃない! 間違いやすい職業名をパックンが指南 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)
船の場合、全ての船員がOfficerではない。
階級ごとに名称が異なる。警察官も内部での呼称は細分化されているだろうが、
外部から見たらみんなPolice Officerである。
同じように”船員”全体を表す職業名は”Seafarer”だ。
入国書類などに、実際にそう書いているという。
Police manがPolice officerへと呼び名が変化したように、
船員もいまは、SeamanではなくSeafareとよぶ。
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一方のMateは、クラスメイトのメイトと同じニュアンスであり、仲間という意味合いが強い。
船では上位者だけが使える。下級者に対してのみだ。
語源を辿るとMateはMetsということば(食べ物、料理)につながるという。
この言葉がイギリスに入ってきた時に、MetsがMessに変化したようだ。
船内には、Mess roomと呼ばれ部屋がある。これは食堂のことであり、
仲間が集って食事をする場所のことだ。
そこからMessが転じ、Mateは仲間という意味になった。
その昔、”船長と一緒に食事(Mess)をしていた仲間をMateと呼んだ”ことに由来するらしい。(参考:成山堂書店「海の英語」佐波宣平)
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船長が一等航海士をMateと呼ぶからといって、見よう見まねで二等〜三等航海士がつかうとひどく怒られるという。
「新人の頃、知らずに呼んだら怒られました!」と、現一等航海士が若き頃の失敗談として語る。このようなたまに聞くこぼれ話が面白い。
よって本作でも、チェイスをFirst Mateと呼べるのは、
上司であるポラード船長だけなのである。
【2017年6月訪問他】