【蔵前】らい
〈らい〉は蔵前にある喫茶店だ。
お店を見つけた瞬間の高揚感がすごい。
長いあいだタイミングが合わず、やっと叶った訪問に、声が思わず溢れる
「やっと、あえた……!」
写真より実物の方がかっこいい。
まるで憧れのアイドルを生で見たときの感じ。
それを喫茶店に感じる。
喫茶タイムは平日の14:00までなので、午後に休暇をとった日にやってきた。
待ちに待ったナポリ舌(タン)!
サラダはお好みで、ピンクの岩塩の塊を削って味付けする。
タバスコを入れて調味するスープも好みの味だった。
雰囲気だけでなく、料理も本格的で素敵な店である。
ファザードはずっとそのままであってほしい。
蔵前の下町感は最高だ。
【2016年3月訪問】
【栃木県:小山市】カフェリフジ
駅からは少し離れたロードサイドの喫茶店は、別荘の趣きがある。
夏の避暑地という表現がぴったりだ。
電話ボックスがある。
晴天の日に窓から、庭をぼーっと眺る幸せのひとときだ。
チリコンカントーストと水出しのフジオリジナルアイスティを頼んだ。
この日のお供の本は『47都道府県の喫茶店』(山之内遼:著)だ。
この本をみて、足を運ぶ方も多いと聞く。
47都道府県ツアーを行う好きなアーティストのライブに参加するために
栃木県に来た。行きたい喫茶店がある街の公演なら、迷わず申し込んでしまう。
ここのマダムはとにかくパワフルで、元気をもらえる。
「東京から来て、ライブを観に行く途中に寄った」というと、
マダムは「駅まで車で送るよ!」
と気を使ってくださったが、申し訳ないので辞退し、また必ず来ることを約束した。
この汽車で来た。
【2016年8月訪問】
【神奈川県横浜市阪東橋】マツモトコーヒー *閉店*
〈マツモトコーヒー〉は、横浜の阪東橋にある喫茶店だ。
永瀬正敏さん主演ドラマ『私立探偵濱マイク』の舞台となり、今でもファンの方々が
いらっしゃるそうだ。
創業90年という。横浜でも1.2を争う古さだとか。昭和40年代に一度手直しはしたけど、今もそっくりそのままの状態で残るお店だ。
文化遺産といっても過言ではない。
ドラマの美術さんが、惚れ込んだインテリアである。
歴史を重ね、いろんな人間模様が染み込んだお店だ。
こんな雰囲を即興でつくることは難しいだろう。
使わせて欲しいと頼み込んだ気持ちがわかる。
永瀬正敏さんの渋さに似合うと思う。
セットでは再現できない味わいが素敵な喫茶だ。
木曜定休だそうです。
【2016年5月訪問】
【宝町】Q
〈喫茶 Q〉は、宝町にある喫茶店だ。
マスター曰く、近辺にこういう喫茶店はもはや残ってないらしい。
再開発が進み、変わる街並み。
この町の在りし日の姿を懐かしむ常連さんの会話に、少しだけ混ぜてもらった。
外の世界とオーラが確実に違う店内である。
24時間表示の不思議な時計が、この喫茶店の時空を歪ませる。
「もう帰っちゃうの?」名残惜しそうに声をかけていただいた。15分ほどの滞在だった。
「もう帰らなきゃ」この日はタイムリミットがあった。
タイムマシーンで現実にもどらないといけない主人公の気分だった。
この日のお供は『タイムマシン』(H.G.ウェルズ)だ。
私はほんとうに影響されやすい。
【2017年2月訪問】
【東京都:赤羽】プチモンド
〈プチモンド〉は赤羽にある喫茶店だ。
看板は別のものもあり、渋めの色合いのトアルコトラジャのマークがついている。
このオレンジの建物の形そっくりの喫茶店をみたことがある。それはまた後日記事にしようと思う。
私にとって、“フルーツ ”とコーヒー”。
この二文字は最強のセラピー効果がある。
この日は待ち焦がれていたフルーツサンドを頼む。
もちろんフレッシュフルーツがはさんである。缶詰じゃない。種類ももりもりだ。
クリームが果物と混ざり合い口の中でちょうど美味しくなる。
赤いバッグで撮影されたパフェやジュースが麗しいメニュー表だ。
まだまだ他のものも食べ尽くしたい。喫茶メニューが美味しいだけじゃなく、
店内の雰囲気もとても好きだ。日曜の朝にお父さんに連れられた小さい女の子がいた。パンケーキを食べていた。その姿に、幼少期の思い出を重ねる
団地の一階にこんな大きなガラス張りの喫茶店が、東京にあるなんて貴重だ。
通りは、人通りもさほど多くなく静かにのんびりすごせる。
からりとした夏の日に来たら心が晴れた。
この日のお供は『吾輩は猫である』夏目漱石
醒めた目の猫が、人間を風刺してバッサリ斬るさまに思わず吹き出す。愉快な本だ。
【2016年7月訪問】
【岩手県:久慈市】モカ
前回の記事
純喫茶アイドルが
NHKテレビ小説『あまちゃん』で有村香純さんが演じた若き春子のバイト先である
原宿の喫茶店〈coffee shop アイドル〉のモデルだったといううわさがある。
一方、
こちらは小泉今日子さんが演じた、母となった春子が働く北三陸駅内の〈喫茶リアス〉のモデルだったとされている。
モカは、『あまちゃん』撮影時に出演者やスタッフがよく通ったそうだ。
とても可愛いくてウキウキする扉だ。
〈喫茶リアス〉のセットは、こちらのお店を参考にしたというのだから、まさに
『あまちゃん』の世界にとびこんだみたいだ。
このカウンターに春子が立っててもおかしくない。
「アバズレの食いもんだよ!」と春子が呼んだナポリタンを頼んだ。
壁にはサインがいっぱいだ。
ご存知の方もいらっしゃるかもしれないが、モカは昨年の大洪水で浸水し、
一時休業された。
2016年に台風10号が岩手県久慈市一帯を襲った。ここ〈喫茶店モカ〉も浸水し、
使えなくなってしまった調度品もあるそうだ。
東日本大震災から立ち直ろうとしている岩手県にさらなる悲しいニュースだった。
もちろん悲しいニュースではあったが、心温まるニュースも同時に知った。
このお店のファンのボランティアが、がれきの撤去を手伝ってくれたり、
再開を願って地域一帯で協力されていたと、新聞の記事で知った。
新しい船出をしたモカにはまだ訪問できていない。
いつか再訪できたらいいと思う。
津波の被害にも遭った、『あまちゃん』が放送された時、
岩手県三陸地方が舞台になる嬉しさと、あのことを思い出す悲しさが半分半分だった。本当に一喜一憂しながらドラマを見ていたことを思い出す。
もうすぐ今年の311がやってくる
【2015年8月訪問】