純喫茶丸 8knot    〜喫茶店で考えた〜

2015年からの純喫茶訪問ブログ。純喫茶をはしごする船ということで”純喫茶丸”という船の名前がタイトルです。

【東京都:浅草】クラウン

休日はどこにお出かけするの?とか、どのあたりで遊ぶの?という質問に困っていました。なぜなら特定の出没スポットというのはなく、お目当の喫茶店がある町に出かけるからです。東京メトロ一日乗車券や都バスの一日乗車券を買って自分の中の喫茶店リストと相談する。寝る前に明日はこの喫茶店に行こうと考えるのが楽しい時間です。

あ、今日の喫茶店は浅草のクラウンです。

 

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でも『休日によく行く街は?』の返事には「浅草」といっておけば無難かもしれないことに最近気づきました。確かに浅草に行けば喫茶店探しに迷いません。実際に最近出没率も高いです。今まで行ったところだと、アンヂェラス、アロマ、カリブ、ローレル、サンパウロハトヤにブラジル....などなど。浅草の喫茶店はまだまだ巡り切れないほど密集スポット。喫茶店天国です。

今日からは喫茶店で食べたモーニングの記録を綴ろうと思うのですが、浅草は喫茶店密集地だけに各店ありがたいほどのサービス精神を発揮してくれています。クラウンもモーニングが割と遅くまで。12:00まで提供しています。

この日は、迷わずBセットのホットケーキセットを。喫茶店のホットケーキが好きなのです。小さめのホットケーキ、朝はこれくらいでちょうどいい感じのものが2枚。可憐な生クリームとフルーツが添えられて。メープルシロップも付いてきます。私は最初に何もかけずに生地だけを食べるのですが、夢中で食べ続けて最後のひとくちまでシロップをかけるのを忘れていました。バターとクリームだけでも美味しかった!

酸味のきいたブレンドは老舗喫茶店らしい味わい。店内は異国上溢れています。浅草が他の町と雰囲気を異にするのは、浅草寺が近い純喫茶ならではか外国人客が多いこと。浅草なら日本が誇る純喫茶が溢れているから、こういう老舗のJAPANESE CAFEに入ってくれると私も嬉しくなります。せっかくだから日本独自のお店に入って欲しいから。クラウンは間違いないですよ!2階も座席があります。階段の看板 ”どうぞ おあがりください”のクラシカル乙女フォントがかわいい。

 

最近気づいたのですが、私の特技のことです。テレビの街頭インタビューが行われている場所を、背景に映り込む喫茶店の看板から推測できること。先ほど、クラウンがバックにインタビューされていて、浅草だとわかったし、“太郎”の看板が見えて、あぁ武蔵小山の商店街だとわかりました。ドラマの撮影やロケ地も同じ理由から見つけられます。喫茶店のシーンが出てきたら、どこのお店か当てるあそびにはまっています。友人に話しても多分そんな能力羨ましくないと言われるかもしれませんが、自分が楽しいからいいのです。だって趣味は自分のためにあるのだから。


今度、好きな街はどこ?特技は?と聞かれたらそんな純喫茶のお話をしようと思いました。

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東京都台東区浅草1-2-13

【2017年8月訪問】

【東京都:大久保】トリアノン 大久保店

先日からの洋菓子店シリーズ。今日はトリアノンです。
すっかり日が短くなった晩夏。夕暮れが宵と交代するまで気の済むまで町歩きをする今日この頃です。散歩にもってこいの季節になりました。

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永遠の乙女心のプリンアラモード

トリアノンはグリーンの看板に黄金色のフォント文字が素敵な老舗洋菓子店です。各店イメージカラーがあり、高円寺店は赤が壮観な看板でした。三鷹店のフランスマリンテイストな赤と白の看板も可愛いです。トリアノンの店頭に並ぶお菓子はもう秋色。パンプキンやモンブランなど、暖色系のほくほくが恋しくなる季節ですね。
ケーキも美味しそうなのですが.....今日のおめあては銀のトレイに乗ったプリンアラモードです。喫茶メニューのプリンアラモードの提供は大久保店のみなのです。

あぁプリンモードこそ永遠の乙女心が詰まったデザート。小さい頃、駅前にあった喫茶店の窓側で毎週日曜日に食べさせてもらったプリンアラモード。プリンアラモード食べに行くよ。と連れられて、あの頃の日曜日の穏やかなおやつの時間。たちまち昭和の薫りを思い出します。

喫茶メニューのプリンアラモード 大久保店だけ。

トリアノンのプリンアラモード。以前は裏メニューだったようですが、店内の喫茶メニュー表には記載がありました。お持ち帰り用のケーキショーケースに陳列されているプラスチック容器に入ったプリンアラモードもあるため「喫茶メニューのプリンアラモード」と注文します。でも間違いのないように店員さんが再確認してくれますよ。ちなみにこれより小ぶりのタイプでチョコレートプレートとアイスの乗っていない”プリン”というメニューもあります。小さめの銀のお皿にプリン、フルーツとホイップクリームがお行儀よく並んだ、こちらも可憐なデザートです。プリンとホイップクリームはトリアノン自社工場製です。硬めのプリンが好みなので、これは美味しい!もちろん心がとろける美味しさ。

ケーキショーでの受賞数がすごいパティシエたち

トリアノン昭和35年創業で57年もの歴史があります。ケーキと焼き菓子が両脇に並ぶ陳列棚の奥に喫茶コーナーが。向かって右奥のコーナーが年季が重ねられた素敵な空間です。味わいが出ている飴色のインテリアはとても好み。床の模様も昭和の素敵デザインです。57年も愛されるのには理由があって、所属のパティシエさんは毎年のようにジャパンケーキショーで賞を受賞しているようです。受賞項目を見ると”デコレーション部門 バターケーキ仕上げ”での受賞数が多く、昔懐かしのバターケーキはここに行けば間違いなく美味しいものがいただけそうです!

大久保の街の雰囲気がそうだからか喫茶利用者は結構おじさま率が高く。喫茶コーナーでプリンをオーダーしているスーツの紳士がいらっしゃいました。帰宅前のほっとする一息なのかなと、なんだか微笑ましい気分に。

思い切りフランステイストに浸った日

こちらの喫茶室では、先日からページを開け始めたフランス作家ピエール・ロチ”氷島の漁夫”を思いきり読みふけりました。フランス語で”最先端のプリン”という西洋菓子を食べながら、フランス文学を読むという遊びです。すっかり心地よい気分。静かな夏の夕べを過ごし、夢中で癒されたところで本を閉じる。今日はこれでお開き。外はもう黄昏の藍色の空がありました。

今年のクリスマスケーキはバタークリームのホールケーキにしよう。そう決めました。

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東京都新宿区百人町1-18-9

【2017年9月訪問】

【東京都:西荻窪】こけし屋*鳴子温泉の思い出*

先日からの洋菓子店シリーズ。今日は西荻窪こけし屋さんです。鈴木信太郎画伯のゆるかわな包装紙が欲しくて少しずつ集めています。看板は表通り裏通りたくさんあって見ごたえあります。かわいい!

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民族衣装が好き

切り絵細工のような葉の隙間から初夏の日差しを讃え、こけしが並ぶ2階の窓側。西洋菓子店で東洋のアートがお出迎え。民族衣装が好きなので、この包装紙の女の子たちの衣装にとても惹かれます。PIE BOOKS”世界の衣装”という写真集が好きでよく眺めています。そういえばこけしも日本の民族衣装を着ています。今度はじっくり見てみよう。こけしの良さに気づいてなかった。ロシアのマトリョーシカのようなものですよね。

鳴子温泉の思い出

こけしといえば、宮城県の鳴子が思い出されます。今画像検索してみたら、いろいろなこけしグッズがあって楽しそう!紅葉の季節はもうまもなくです。落ち葉を踏んだ時のクシュクシュという音、好きです。『マツコの知らない世界』で紅葉スポット第1位で選ばれていた鳴子郷の紅葉の見頃まで少し。10年ほど前、旅番組で観た鳴子温泉のぬるぬるのお湯に惹かれ、ふと思い立って新幹線で出かけたことがあります。もちろんその番組は紅葉の景色とともに感動をお茶の間に届けてくれました。その紅葉スポットはJR陸羽東線鳴子温泉駅中山平温泉駅の間にあります。壮観でした。確か日帰り温泉は『うなぎの宿の湯 琢ひで』に行ったのだと思います。


..... 今、番組のアーカイブを探してきました。ありました!やはり琢ひでさんでした。朝一のやまびこ号に乗り古川駅で乗り換えて、JR陸羽東線鳴子温泉に行ったのです。帰りの電車の時刻を確かめて、日がな鳴子で散策。東京-宮城-東京の日帰り旅行。.....嗚呼やはり忘れてしまう。せっかくの美しい記憶を。今ネットで思い出す作業はできますが、やはり自分の記録として自分専用のブログに残せば、自分にとってもそしてたまたまこちらを覗いてくださった方にも何かためになるかもしれないから、だから写真を撮り、ブログに書いています。いつか忘れた頃にまた行きたくなる時のため、情報が引き出せるようにブログに残します。ビジュアルはわかりやすい。

今思い返すと、ふと思い立って翌日に旅に出るなんて今やなかなかできないので、結構贅沢な遊びをしていたものだなぁと自分自身に感心しています....。

りんごほっぺの子供って今....

この日は、銀色の縁どりのレトロなケーキ皿に乗ったリンゴの丸いケーキをいただきました。りんご…こけしを見て東北を思い出したのでしょうか。なんて東北愛...!(こけし屋さんのは東北産かどうか不明ですが...。)そういえば、りんごみたいなほっぺたの子供って最近見かけないですね。遠い昔の私のあだ名はりんごちゃんだったので、でも赤くないのだけど。チークで赤く塗りすぎていたからかな...。

可愛いイラストのコースターも記念に持ち帰りました。鈴木信太郎画伯のグッズ、学芸大学の洋菓子屋さんマッターホーンや長崎銘菓クルスの缶などすこ〜〜しずつ集めている途中です。

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6月に伺っています。こちらは、3階のフレンチのメニューのお知らせ。

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東京都杉並区西荻南3-14-6 1F~3F

【2017年6月訪問】

 

【東京都:淡路町】近江屋洋菓子店 神田店

先日からの洋菓子店シリーズ。今日は近江屋洋菓子店 神田店です。

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この日は2015年の5月の土曜日。外では神田祭りが開催されていて、半纏を着たお兄様たちが店内でいなせに休憩中。5月場所の成功を祈念して近江屋さんにお相撲さんが挨拶回りにきていたのも風流でした。とても神田らしい風景。お店に神田祭と書かれた提灯が装飾されていて、歴史のあるお祭りと老舗洋菓子屋さんのコラボレーションに雅を感じました。気ままに喫茶店に巡っていて特に予定も立てずに来たのに、こんな偶然に出会えるなんて。だから喫茶店めぐりは楽しいのです。

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5月場所の出場力士一覧表をいただきました。記念に写真を。この日だけの風景です。

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近江屋さんに来ると、いつもこの食べきりサイズのホールショートケーキを頼みます。この形がいいのですよね。ホールケーキを全部食べるという夢が叶います。近江屋さんのモットーは、質は良いけれど気取らず、子供がおやつに気楽に食べられるようなケーキ作りをすること。なのだそうです。素朴で王道なケーキが欲しくなったらここです。ショーケースに並んだケーキもサバラン、アップルパイ、シュークリーム、プリンやゼリーと昔ながらの洋菓子店。ほっとする優しい甘さ!乙女チックな雰囲気に包まれ、カップのパラソルの下の女の子みたいな気分で優雅な時間を満喫しました。

東京都千代田区神田淡路町2-4

【2015年5月訪問】

【東京都:自由が丘】モンブラン(TOKYO JIYUGAOKA MONT-BLANC)*ケーキのモンブラン元祖のお店*

もう洋菓子店シリーズにしちゃいましょう。駒込のカド、東中野ルーブルに続いて今日の洋菓子屋さんは自由が丘のモンブランです。

モンブランといえばケーキのモンブランね!と食いしん坊の私は思うのですが、モンブランとはそもそも西ヨーロッパ最高峰のことですね。山です。ケーキのモンブランは、こちら洋菓子モンブランの創業者がフランス東部で見たモンブランの峰に感動し、ケーキに名付けたのが始まりだそうです。モンブランってたくさん買いたからゲシュタルト崩壊しそう…。でも、喫茶店巡りをしていると、いろいろなお菓子の歴史を知ることができますね。貝型のマドレーヌを初めて使用したのは、駒込の洋菓子店カドだと知ったり。残念ながらカドは8月で閉店してしまいましたが...。

 

kissafreak.hatenadiary.jp

 

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わたしの初めて物語

東郷青児さんという画家を知ったのも喫茶店をめぐり始めてからです。いわばにわかなのですが、うっとりした夢見る女性の絵は甘い香りのする洋菓子屋さんのイメージにぴったりですね。もともと紙モノを集めるのが趣味の私にとっては、新しいジャンルを知ることができて世界が広がりました。(洋菓子屋さんの包装紙集めています。)東郷青児美術館というのは知っていましたが、美術館の持ち主にまつわる損保会社の関係者だと思ってましたので...。近くにあると見過ごしてしまうのですね。東郷青児さんを知ったのも喫茶店巡りをしてからですし、ここ数年でたくさんの初めて物語に出会えています。そういえば、”漫画 はじめて物語”という土曜日の夕方にやっていたテレビ番組、好きでした。モグタン!

名峰プリンアラモード

モンブランではケーキやフランス焼き菓子の店頭販売の他、奥には喫茶コーナーもあり喫茶メニューも充実しています。コースターも可愛いのです。このころはプリンアラモードに凝っていた時期なのでプリンアラモードを注文しています。写真を撮っていると、何にはまっていたか振り返れるので楽しいです。このプリンアラモードは数量限定で提供数が少なめのだとか。ゼリー状にしたカラメルがプリンの周りを取り囲んでいて、プリンの山の麓で美しい景色を彩っています。フルーツはイチゴとバナナの2種類でスッキリ大人の見た目。クラシカルなプリンアラモードです。私の中のプリン史は最初に出会ったのが森永あたりのプッチンしないプラスチックパックのもので、次にプチっとするのが楽しいプッチンプリンに出会い、駄菓子屋さんで10円か20円くらいのプリン風味の謎のお菓子に夢中になり、そして衝撃のパステルのなめらかプリンにとろけてきた略歴があります。その後世の風潮も原点回帰だったのかコンビニのスイーツとしてちょっと固めのホームメイド風の焼きプリンが売り出されるようになりました。こうしてプリンはどこでも様々なスタイルで出会える国民的デザートになりましたが、あの昭和のデパートの食堂で食べたたまご味しっかりのカスタードプリンは絶滅の危機です。老舗の洋菓子屋さんのプリンなら美味しさ間違い無いですね!こちらのプリンアラモードはモンブランの峰のように美しくそびえ、裾野や山肌にはフルーツの可憐な花がさいています。

そこに喫茶店があるから.....

なんでこんなに私喫茶店に行くのでしょうね。そこに喫茶店があるから、ですね。それしか理由が見当たりません。未訪問のお店はたくさんありますし喫茶店巡りは永遠に…づく。

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お土産にマロングラッセを購入しました。手提げ袋も可愛い!ゴールドの縁取りのピンクのリボンも最大級にキュートでした。今度はモンブランを食べに行かなくちゃ。

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東京都目黒区自由が丘1-29-3

【2017年9月訪問】

 

【東京都:東中野】洋菓子 ルーブル*セレナーデと氷島の漁夫*

ルーブルのセレナーデは美しい。セレナーデとはこちらのお店で提供しているパフェの名前です。そのセンスが素敵ですよね。ピンク色の何ともみずみずしい色合いのパフェはアイスクリームがメイン。まだ初々しく甘い味。昭和にトリノという三色のアイスバーがあったのですが、そのストロベリー味を少し洗練させた味がしました。あぁ懐かしい。

  

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セレナーデとは、恋人の部屋の窓下でかなでる恋愛の歌。

ルーブルへのお供には、どんな本がいいか考えてみたところカズオ・イシグロの「夜想曲集」という短編が一番に思い出されました。

英国は霧のイメージがあり少しアンニュイな雰囲気が漂うところが美しいと思っています。北フランスの港町も少し似た雰囲気があるようです。19世紀のフランスの作家ピエール・ロチの名作「氷島の漁夫」もロマンティック。移ろいやすい無限の世界に生きる人々を北フランスブルターニュの漁村を舞台に描いた作品。海と共に生きる宿命というべき、運命に翻弄される男女の物語。切ない旋律のセレナーデが似合う絵画のような美しい作品です。

眼にはわずかに海とおぼしいものが認められるだけだった。最初それは何も写すもののない揺れ動く一種の鏡のようといったような外観を呈していたが、それは何やら霧の原にでもなっているに見えた。そしてそれから先はもう何も見えなかった。それには水平線もなければ境目もないのだった。出典(ピエール・ロチ「氷島の漁夫」

海と光とバラ色が全て混ざったような麗しい世界。北極、夜のない夏は夜を媒介しない境界のない世界がやってきます。

いつの間にか次の日がやってきてしまうような。不思議な夜。

海面の鏡が輝き、夜と海しかない世界にバラ色にほのかに伸びるいく筋もの線を映し出していた。(同上)

そんな境界のない夜と朝の間に夜曲セレナーデがよく似合うと思います。

そして荒涼とした港町の高台の侘しさに対する、海辺の人々の純粋で溌剌とした前向きさも良いコントラストになっていました。「氷島の漁夫」素敵な作品です。

誰にも触られていない果物のようにいかにもフレッシュなビロードの肌触りだ。(同上)

こうして喫茶店と本は不思議と縁をもたらしてくれます。東中野ルーブルに入ると現実と祈りが曖昧になり、心が溶かされほぐれていくのです。実はこの作品、田山花袋の「東京の三十年」という本の中で、彼がお給料を前借りしてでも欲しかった作品だと買いてあったのです。数日後喫茶店に行く道すがら立ち寄った古本屋さんで見つけた時は即決でした。縁は波のようです。

 

氷島の漁夫」は日本では明治時代の作品で、作中に船内の聖母像に祈る場面があるのですが、今のように技術が発達する前の航海は信仰や迷信にすがるほど、運命に翻弄されるものだったのだと、腑に落ちる場面です。過去の船には芸術性を競って、船の舳先にマリア様をはじめ男神、騎士などの彫刻が施されていたそうです。現代では船の仕組みも発達し、構造上船首像はなくなっていますが、当時の航海は、祈りと共にありました。今は効率やスピード優先の商船は船首像があるものはほとんどありませんが、練習船などにはまだその名残があるそうです。例えば練習船日本丸。現代にはあまり見られない帆船、船首像を持つスタイルの日本丸を一度生で見てみたいです。

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*前回は絶品のミートソースを食べていました。

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【2015年9月他】

 東京都中野区東中野4-1-8 上原ビル 1F

【埼玉県:蕨】喫茶クラウン 中に入りたい喫茶店 No.1

喫茶クラウンは埼玉県蕨市にある喫茶店。蕨駅の東口徒歩5分程度の場所。
二股に分かれている路地の角にあります。一見町にある普通の喫茶店と思いきや、中に入るとクラシックな別世界が待っています。

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"打ち上げ花火、埼玉から見るか、東京から見るか"

関東の名高い夏の花火大会に、荒川を挟んで東京と埼玉、両岸から鑑賞できるものがあります。ここ蕨駅も東京のお隣あたりと言ってもいいでしょうか(お店の住所は川口市)。川を渡ればすぐそこは東京という位置にあります。山田孝之さんのドラマでお馴染みになった赤羽駅(東京都北区)から蕨駅までJR京浜東北線で約10分です。東京から10分でこんなに生き生きした昭和遺産に出会えます。

 

昭和の喫茶店や町の洋食屋さんのオムライスってなんでこんなに憧れてしまうのでしょう。諦めの対義語として憧れという言葉があるなら、もう諦めかけている味なのかもしれません。この味が出せるお店はよほど探さないと出会えません。希少な卵とか量の問題などではなくて、フライパンに染み込んだお店の味ってあると思います。継ぎ足しのタレのように、丹精が継ぎ足されているのでしょうね。何回も何回も炒められ振られてきたフライパンは深みが出るに違いありません。ここは懐かしい優しい味わいのオムライスでした。

見上げて吹き抜けの天井から流れるシャンデリアを。美しい螺旋を描く階段は華々しい。それもそのはず、昔はここで結婚式も行われていたのだとか。礼拝堂のように高く高くそびえ輝く天井に心躍らせながら、お願いして二階に上がらせてもらいました。”かぼちゃランプ”と店員さんが呼ぶオレンジのシェードにしばしうっとり。時が止まったような錯覚に包まれながら、階段を降りるごとに現実に戻っていくのでした。最後にもう一度この素晴らしい空間を見渡してからて、ここに来られて本当によかった。とつぶやきお店を後にしました。

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埼玉県川口市芝新町3-19

【2017年6月訪問】