純喫茶丸 8knot    〜喫茶店で考えた〜

2015年からの純喫茶訪問ブログ。純喫茶をはしごする船ということで”純喫茶丸”という船の名前がタイトルです。

【神奈川県:鎌倉】豊島屋3階 パーラー扉 

今回は鎌倉の喫茶店の記事を書こうと思います。扉はJR鎌倉駅目の前、鳩サブレーの豊島屋3階のパーラーです。

f:id:saria444:20170816232937j:plain 

鎌倉が舞台の小説

最近読んでいるのは川端康成の「山の音」。湘南や江ノ島といった海のイメージの鎌倉ですが、鎌倉の山が舞台だというこの小説がふと読みたくなりました。夏で始まり秋で終わる小説。今から読みだすにはとても良いタイミングかもしれない。春や冬の情景も出てきますが、晩夏から秋への切なさが、いい雰囲気。蝉もなかなか重要な登場人物(虫物)。横須賀線の車窓からのシーンや四季折々の仏都鎌倉の草花。読んでいて活き活きとした画像が浮かんでくる色彩豊かな物語でした。

「山の音」掲載の花言葉

作中にいくつもの草花が出てくるのですが、花言葉を知っていたらより詩趣があるのではないかと、花言葉を調べながら読み進めました。

主人公(♂)が嫌いだという桜の木にまとわりつく”八つ手”には「分別」や「健康」という花言葉があります。これは主人公の心配事や悩みを表し、主人公から最も手の届きそうにない事柄です。 作中で主人公は、頭だけ外して修理に出したいというのですが、ぎょっとするけどわからなくもない心境です。頭を外して胴体だけを休ませたいとも。これは考えすぎで脳が疲れているのでしょう。主人公は神経質になりすぎています。印象的な颱風の夜のシーン。その嵐の翌日に頭ごと散ってしまったひまわりと、それと対照的に強風に負けず咲き続けていた葉鶏頭花言葉は「不老不死」でした。

作中に登場する植物は多岐にわたり、物語の情景に彩りをあたえる役割も果たしているのですが、その花言葉も意味深です。

 

枇杷.....あなたに打ち明ける 密かな告白

アカシア.....秘密の恋

よもぎ.....決して離れない

シダの葉.....誠実

....過去の思い出

 

これらはすべて作品のキーワードでした。

特に衝撃的だったのは、カラスウリ。なんと「男嫌い」という花言葉。他に「良き便り」や「二面性」という意味もあります。花は夜だけ開くとして有名とか。夜だけ開く花とは、それは主人公(♂)が寝ている間に見る”夢”の比喩かもしれません。しかし男嫌いとは、一体何だろう。それはこの小説を読んだ人なら理解できるかもしれません。しかも誰のことなのか、それは人によって解釈が違うかもしれないです。章ごとに出てくる主人公が見る夢の描写も面白い、主要な軸です。


川端康成の傑作

「山の音」のストーリーは、純愛かミステリーか。ついついページをめくる手が止まらなくなります。練られた作品だと唸りました。鎌倉、新宿御苑、本郷といった身近な土地が舞台なのも興味が尽きなかった理由です。舞台は終戦後の日本で、戦争未亡人や戦地に赴いた人物が出てくるのも、一読に値するかも。鎌倉関係の品を読んでみたいと軽い気持ちで手にしたのですが、さすがノーベル文学賞作家の作品。深い山のように高密度で底知れないその深みに嵌ったようです。


喫茶店 ”扉”の話

喫茶店 鎌倉の”扉”は、鎌倉が舞台の小説を読んだことで思い浮かんだ喫茶店。黄色い缶でおなじみの鳩サブレーの豊島屋さんの喫茶店です。

この日の鎌倉ハムのサンドイッチは肉厚ジューシー。美味しかった。パンはトーストしたもの、焼いていないものと二種類あって楽しい。鎌倉駅前なのに、穴場なパーラー。1階のお土産売り場は混雑していましたが3階は意外にも空席が。バスターミナルを見ながらこれからどこに行こうか計画を練るのが楽しかったことを思い出します。まさに鎌倉の扉な喫茶店です。
「材木座」「由比ガ浜」「腰越」海岸のネーミングライツを得た豊島屋。”鳩サブレー海岸”ではなく、海岸名をそのまま残すとした逸話があります。地元を愛する企業が買うとこうしてくれるのでしょうか、この対応にはあっぱれですね。ますます鳩サブレーが売れるでしょう!

 

f:id:saria444:20170816232953j:plain

f:id:saria444:20170816233114j:plain

f:id:saria444:20170816233045j:plain

神奈川県鎌倉市小町1-6-20 扉ビル 3F

【2015年10月訪問】

【徳島県:板野郡松茂町】ハレルヤスイーツキッチン*夏の山陽&四国の旅行

山陽&四国の旅。今回は徳島県です。この日は香川から徳島を経て最終的に宿のある愛媛を目指しました。こちらのお店は、カフェにあたると思いますがご当地品なので純喫茶ブログのタイトルに反するようですが、記事にしようと思います。こちら徳島ご当地品タヌキケーキがあるハレルヤスイーツキッチンです。

f:id:saria444:20170811200320j:plain

f:id:saria444:20170811200332j:plain 

瓶のラムネ飲料と菓子のラムネ、鳴門海峡なると巻き。これらはどちらの歴史が先かを勘違いしていたもの。特に後者、ここ徳島で見た鳴門海峡のうずは世界に誇れる自然遺産、渦の直径は最大で30mこの大きさは世界一だそうです。地形が生み出す偶然のアート。この潮のうずを目の当たりにして、なると巻きってここから来たのだ。と初めて実感しました。本物に出会いました。

徳島の鳴門海峡訪問はこの旅のメイン。こうして徳島県に初上陸なのですが、この日は香川から、徳島経由、愛媛にいく予定。鳴門海峡を干潮時刻に訪れることが最優先でした。干潮時刻(満潮時刻も)は、その潮流が最速となり、潮の渦を最高のタイミングで見れるのです。特に新月満月の日だったらさらに最高。この日は満月翌日でしたので、それはそれは楽しみな計画でした。観測時刻やその移動時間を鑑み、その隙間時間にあわよくばお茶でもできれば、と思いあぐねていていました。

参考にしたのは菅原佳己さんの「日本全国ご当地スーパー 隠れた絶品、見つけた!」です。こちらで徳島県のご当地品としてタヌキケーキが紹介されていました。これはかわいい!事前計画の段階では途中のスーパーでこれを買いホテルに帰ってから食べる予定にしていました。しかし前日の調査で工場直営店ではイートインできると知り、急遽オヤツタイムを取ることに。急な計画変更も柔軟に取り入れることに躊躇がないのは、船会社で働いた者の強みです(笑)。行ってみたらはハワイのカフェを彷彿させる外観。ヤシの木が立ち潤沢な敷地を惜しみなく利用したとても明るいお店でした。観光バスが立ち寄るなど、名所のようです。ここはたぬきのとぼけた表情と赤いドットの包装紙がかわいい徳島銘菓金長まんじゅうの工場併設のカフェでした。とにかく遮る高い建物がないこの辺り、日光が激しくさし、夏を満喫できて爽快でした。

徳島県はたぬきが神様のようです。ジブリの『平成狸合戦ぽんぽこ』のモデルとなった「阿波狸合戦」でたぬきは英雄として登場します。滋賀県では信楽焼の狸がたくさん見られるということですが、徳島県も狸の置物がたくさん!だからたぬきケーキなのですね。こちらのケーキは白目が大きいタイプ。ぎょろっと上目遣いに見つめられて食べづらいわ〜。(笑)長野県にあるつぶらな瞳のたぬきさんも、味わいがあって可愛いと思います。バタークリームが懐かしく生クリームのケーキよりも却って珍しい。かつて生クリームが高価だったため、バタークリームでケーキを作っていた時代がありました。そのバタークリームは、今や生クリームにとってかわられ絶滅危惧種に。ふと思いましたが、この時代にあえてバタークリームを欲しがるという潮流は、ラムネやなると巻きに感じたものと同じ現象ではないでしょうか。どちらが先かなんて、悠久の時を経てただそこに広がる自然現象の前ではとても些細な疑問のように思えて可笑しくなりました。新旧が心の中が静かに融解していく。ある時は穏やかな流れがあり、またある時は怒涛のように押し寄せる流れもある。抵抗力で弾かれても、また再び強い吸引力で混じり合い深くひとつの流れになっていく。それはまるで潮流現象のようでした。喫茶店に関しても、どこが古いとか新しいとか純喫茶のカテゴリーに当てはまるかどうかとか、そんな頑ななこだわりもあまり気にしないようになった。いつかはひとつの潮流になっていくのだから。

f:id:saria444:20170811200353j:plain

f:id:saria444:20170811200420j:plain

f:id:saria444:20170811200444j:plain

f:id:saria444:20170811200549j:plain

f:id:saria444:20170811200636j:plain

f:id:saria444:20170811200746j:plain 

f:id:saria444:20170811200835j:plain

徳島県板野郡松茂町広島字北川向四ノ越30
鳴門海峡から車で20分強くらい。徳島ICから車で15分程度の距離でした。

【2017年7月訪問】

【岡山県:岡山空港】レストラン シャロン  夏の山陽&四国旅行

山陽&四国の旅 今回はまた岡山の喫茶店へ。岡山空港内にあるレストランシャロンです。

f:id:saria444:20170812142125j:plain

これを書いているのは夏の昼下がり。机に向かって物を書いているとき、傍で蝉の声がするなんて、夏休みの宿題をしている気分。

山の日にお誂え向きの一冊「温泉めぐり」

8/11は山の日です。岡山空港は標高789フィートで岡山平野を見下ろせる山の中にあります。岡山はそれほど高い山はないのですが、その中でも一番高い場所に行ったことになりますね。待ち合わせをした空港内のレストランの窓からOKAYAMAと、木々で刈られた自然の看板を眺め、目に青を取り入れていました。


田山花袋の「温泉めぐり」という本が気に入りすぎて今2巡目です。この本の中では、日本の温泉を山の温泉、海の温泉、平野の温泉と分けているのですが、
山の日にちなんで、山の温泉の章で綴られていた素敵な文を引用しようと思います。諏訪方面の温泉について書かれた章です。

この多い山の湯の中で蓼科の南の裾にある温泉は、中でも一番静かで、世離れしているということであった。そこは森林帯で、林の陰も深く日光がそれを漏れて、谷の流れに落ち、駒鳥や杜鵑なども鳴いて、悠々旬日の興を十分に得ることができるという。

そして暇があったら蓼科に登ってみる。この山はそう大して登り道は険しくない。それに表の佐久平野と、裏の諏訪平野とを併せて望む形になっているので眺望も単調でない。(略)...この八ヶ岳の裾野は、非常に風景の良いところでここからは、北アルプスの一帯の連瓦も見ることもできるし、さらに前に南アルプスの駒ケ岳、鋸岳、奥千丈などをも見ることができて、眺望が決して平凡ではなかった。富士見駅付近にある帰去来荘あたりの眺望は越後の赤倉の持った高原生とともに多く得ることのできないものである。(出典:田山花袋「温泉めぐり」 岩波文庫 p148)

 

田山花袋はまえがきでこう書きます。

「温泉の紹介と共に日本の風景や地形や名勝の描写を心掛けた」

(出典:同上)

大人の夏休みの宿題

確かに地名、地形が具体的に出てきています。私は、まだまだ未熟な世界があるなと、今一度一度地図帳とにらめっこしながら読んでいます。地理勉強しておけばよかった!でも、東大受験に向けて勉強中のオードリーの春日さんが言っていましたが、大人になってからの勉強はこれまでの経験値がある分、頭に入って来やすいそうです。地理だって実際に訪れた場所の復習だったり、テレビや雑誌で聞いたことがありますからね。まっさらな状態で頭に入れていた子供の頃と違い、だいぶ面白く学べますね。私の地図帳との格闘はまるで大人の夏休みの宿題のようです。「温泉めぐり」の文章から、木々の陰や木漏れ日、鳥の声などの風景が浮かんできて、高原性の景観と空気といった情景が少し涼を感じさせてくれました。空想で涼しくなれるのです。ある英国人が「日本人は蝉の声を聞くと暑いと言う。その感覚がわからない」と言っていました。音で体感温度が変わる、そういう感性は日本人独特なのかもしれません。夏の風鈴も風流ですよね。歌でも松尾芭蕉の「閑さや岩に沁み入る蝉の声」は有名すぎますが、この短文からでも蝉の声や気温までも伝わってきますよね。日本人の感性に誇りたい気分です。

旅に出て自分を取り戻す 

旅から帰ってきて少し心が穏やかになっています。田山花袋も「旅に出て自分を取り戻す」そう言う感覚があったそうです。インターネットで旅の疑似体験はできますが、匂いや空気、温度といったリアルな空気感、その効果は実際に行かなければ得られないと思います。

この日の往路便、岡山空港の天候状況により条件付き運行で羽田空港に引き返すかもしれなかったところ、無事に着陸できた後のホッとした気持ち。その中でのこのシャロンでのソフトクリーム、クレミアの濃厚な甘さも冷たさも、岡山空港の少しくらい涼しげな山の空気で頂いたことも、これはここでしか味わえない味になっていました。

f:id:saria444:20170812143729j:plain

f:id:saria444:20170812142245j:plain

f:id:saria444:20170812142333j:plain

f:id:saria444:20170812142437j:plain

f:id:saria444:20170812142623j:plain

f:id:saria444:20170812142835j:plain 

f:id:saria444:20170812143755j:plain

f:id:saria444:20170812143817j:plain

f:id:saria444:20170812143828j:plain

 岡山県岡山市北区日応寺1277 岡山空港ターミナルビル 2F

 【2017年7月訪問】

【香川県:高松市】城の目 *夏の山陽&四国の旅行

さて、香川県の喫茶店に参りましょう。当ブログ、純喫茶*香川県のカテゴリーを今日初めて加えました。2年前にも香川県に来ているのですが、写真が眠ったままのようです。早めに他のお店も記そうと思います。その中でも今回の城の目は香川県一、いや日本一ともいえる崇高な喫茶店ですよ。

 

f:id:saria444:20170808104330j:plain

クリエーションの待ち合わせ場所

城の目は世界でも名高い建築家、彫刻家、詩人など各分野のクリエーターが交流した場所です。当初はクリエーターたちの打ち合わせ場所だったところを、後に喫茶店として開業したそうです。入店すると眼前に見えるのは、昭和39年開催のニューヨーク万博で日本館の外装の試作品として作られた石壁。その他世界初の石造りのスピーカーなど(その重量3~4トン!)貴重なアート作品が四囲する空間です。こんな歴史的な美術品を間近に喫茶メニューをいただけるなんて。喫茶店好きとしては一度は訪問しておきたく、この日、念願叶いました。はじめはなんだか恐れ多くて端っこの隅の方に小さくすわっておこうとしたのですが「せっかくだから広い席に座りなさいよ♪」とマダムに誘われ、暗灰色の玄武岩のすぐ前に座りました。
火山岩でできた壁なんて他にどこで出会えるだろう。

瀬戸内海の転流 海の復権

香川県といえば直島の他、島々がアートで彩られる県として最近は名高いですね。ワールドスタンダードや均一化、効率化が叫ばれる昨今でも、四国自体が本州と海を隔てて存在しているせいか、私には独特な楽園に見えます。しかしその内情は高齢化が進み、そのため地域の活性化が減り、島々独自の文化が消えつつあるそう。それに風穴を開けようと、海の復権をテーマに瀬戸内国際芸術祭が開催されるようになったとのこと。瀬戸内海は美しい自然と海の煌きがある場所です。この島々を文化発信地とし、世界にその名を広め新しい時代を迎えようとしているそうです。

ところで、四国には名の通った海峡が多く存在します。鳴門海峡や来島海峡などがそうです。海峡というのは、陸と陸の間に挟まれた海の幅の狭くなったところのことで、瀬戸内海のように大小様々の島が狭いエリアに点綴する場所は、必然的に海峡が多く存在するのも納得です。島々の珠のような連なりは景勝として風流ですが、船舶の航行には要の場所であります。海峡では転流時という”潮流が流れの方向を変えるタイミング”があり、船舶はその時刻を計算して航行計画を立てます。瀬戸内海では転流がよく発生する場所であるがために、「芸術祭で島の活性化を」という新しい潮流を発生させる地として、ここほど説得力のある地はないだろうと思われます。芸術祭が開催される各島へは、城の目がある高松の港=高松港岡山県宇野港が本州の玄関口となりますが、一日数本のフェリーで行くほか交通手段がない上、芸術品も一日で見て回れないと思います。効率や均一化という価値観からもっとも遠く離れたところでしょうね。船でしか廻れない芸術祭なんて魅力的です。船がある意味主役かもしれません。瀬戸内海は造船業が盛んです。新造船の試運転もよく行われています。船が四国に住む人の日常であることも実感できるでしょう。

こんぴらさんと金陵以外の香川県

この四国の旅では瀬戸大橋としまなみ街道を通りました。真下では造船作業が間近に見られて感動。瀬戸内海の明るい陽に照らされた碧い海面と、波で描かれた白い水尾のなんと美しいこと。濃淡のある山畑の彩りと鈴なりの柑橘類の黄色と。瀬戸内海は絵画のような景色でした。

香川県といえば、船にまつわる仕事上、こんぴらさんか日本酒の金陵しか出てきませんでしたが、アートの町なんですね。しかも特別じゃなく日常に目の触れる場所にある。こういう城の目のような喫茶店が日常のごく普通に存在する素晴らしさ、本当に羨ましいです。前回の高松訪問時には定休日で断念しましたが、今回は入ることができて本当に良かった。香川が気に入りすぎて、東京でもおいしい讃岐うどん屋さんを探してしまうほど恋い焦がれています城の目は店内撮影禁止のため外観のみです。拙い文章で店内の魅力が伝わるといいのですが...。ちなみにクリームソーダをいただきました。純なメニューを。

f:id:saria444:20170808104425j:plain

f:id:saria444:20170808104505j:plain

f:id:saria444:20170808104548j:plain

f:id:saria444:20170808104705j:plain

香川県高松市紺屋町2-4

【2017年7月訪問】

【岡山県:倉敷市水島】ニューリンデン *夏の山陽&四国旅行

山陽&四国の旅編 二回目は岡山県倉敷市水島のニューリンデンです。
訪問順としては前後しますが、昨日のサンレモンに続き岡山県の喫茶店を連投します。

f:id:saria444:20170808103427j:plain

水島港コンビナートへ念願の訪問

この夏の旅に岡山県を組み込んだ理由は、水島港を一度この目で見ておきたかったから。 臨海工業地帯の景色が好きです。コンビナートといえば、晴れた日の彩に富んだ碧い海と紅白のクレーンが織りなす景色に静かな心持ちを誘われます。この水島港一帯は自動車道とフェンスを隔てて存在します。港には海外から来た貨物の税関や検疫場があり、(国際線の空港のようなものです。海外へ(から)の入国出国の際、旅客が行うことを貨物にも行います。)そのフェンス向こうは大使館や空港のように日本であって日本でない空間が存在します。だから港というのは不思議な居心地のする場所です。この旅の途中に玉野市にある宇野港にも訪れましたが、そちらは潮っ気のある魚市場と高松行きフェリー乗り場が詩趣を添えてくれました。

ソーダ水の色数は日本ナンバーワン(?)

水島港が近いからかニューリンデンには船の模型があちこちに見られました。東京への復路便の搭乗時間の理由もあってここの滞在時間は15分。とても短かったけれども臨海工業地区の情緒あふれる雰囲気に思いを惹かれました。

ここのイチオシはソーダ水です。種類の多さは日本の喫茶店の中でも群を抜くのではないでしょうか。20種類くらいはありました。メニューのネーミングから色を想像し、珍しそうなソーダ水をオーダーしました。
その名もサンライズ。太陽が昇る姿をイメージしたオレンジ濃淡2色の色合いがおしゃれ。色彩を楽しんでもらいたいからと二層のまま提供されますが、よく混ぜて飲んでくださいとのこと。ノンアルコールカクテルのような大人のソーダ水。アイスクリーム添えは確か50〜100円程度でできたと思います。(値段は失念しました。)いろいろな色のソーダ水があるけれどオレンジ色のソーダ水は珍しいのではないでしょうか?それぞれのソーダ水につけられたネーミングもそそるものばかりなので訪問する機会があれば是非みなさんにも試してもらいたいです!

圧倒的メニュー数 食事系250種喫茶メニュー250種

メニュー数はお食事系が250種、喫茶メニューが200種程度あるといいます。滞在時間が15分と制限があったため、メニュー表をじっくり見ることができなかったのですが、昭和のレストランといった感じでハンバーグ、トンカツ、スペシャルスパゲティ。パフェにソーダ水。高度成長期の元気な上向きな時代の高揚感が漂っていました。この地は今でも元気ですが、昭和の工業地帯といえばさらにもっと活気があったのでしょう。その気だけでも、いただいてきました。最後に優しそうなマスターと少しお喋り。マッチを所望すると名刺も一緒にくださり、また寄ってくださいねと柔らかい笑顔で送り出してくださいました。そのアットホームさは、水島工業地帯で働く人々と私のような時折訪れる旅人の癒しとなっているのだと想像できます。またいつか訪問したいですね。
f:id:saria444:20170808103517j:plain

f:id:saria444:20170808103554j:plain

f:id:saria444:20170808103640j:plain

f:id:saria444:20170808104052j:plain

f:id:saria444:20170808103754j:plain 

f:id:saria444:20170808103840j:plain

f:id:saria444:20170808103921j:plain

f:id:saria444:20170808104008j:plain

f:id:saria444:20170810000502j:plain 

f:id:saria444:20170810000531j:plain

岡山県倉敷市広江1-14-25

【2017年7月訪問】

【岡山県:倉敷市児島】サンレモン*夏の山陽&四国旅行

これから少し、夏の山陽&四国旅行の喫茶店の記事を書こうと思います。
まず1日目は空路で岡山空港へ入りました。その後お目当ての喫茶店へ。
今回は喫茶店巡りがメインの旅ではなかったので、喫茶店は一日一軒が条件。選りすぐった岡山の喫茶店は岡山県倉敷市児島のサンレモンです。創業から50年以上だそう。

f:id:saria444:20170713082351j:plain

私のスイーツへの憧れ、原点は原宿の竹下通りにありました。アイドルがクレープ屋さんで生クリームたっぷりの薄いパンケーキの生地みたいなものを食べている姿がよくテレビに映っていました。よく読んでいた明星とか平凡でもアイドルがクレープを食べていたんです。クリームチーズとチョコレートが合うんだというのを覚えたのもその頃。生クリームが苦手だったのでクリームチーズを使ったスイーツがあるんだと知った時は感激しました。原宿に連れて行ってもらう機会があったらクレープのチョコレートチーズクリーム味を頼んだっけな。

自動車道を進むと見えてくるレモンの大きなオブジェ。これを見ただけで唾液腺が刺激されます。建物は一見すると郊外にある一軒家風の食堂や地方ドライブインのようなのですが、中はファンシーな喫茶店。これがまた理想すぎるお店なのです。レモンの黄色と赤で統一された店内。80年代、原宿の竹下通りにどうしても行きたくて連れて行ってもらったクレープ屋さんとか、NHKテレビ小説あまちゃんに出てきた80年代に春子がアルバイトをしていた喫茶店を彷彿させます。懐かしい。細いジーンズに黒縁メガネの女性店員さんが丸いおぼんを胸に抱えながら、ホールと厨房を隔てるカウンターに寄りかかり、中の厨房係りの人と程よくおしゃべりしている様もゆるくて、こういうのがいい。昭和の古き良き喫茶店のイメージです。それは実際に訪れた喫茶店ではなく、記憶に残っていた少女漫画やテレビの中の憧れの映像。ここで出会えてとても嬉しい!こういうの昭和風として新しく作り出したわけではなく、天然の遺産が今もそこにあることに感激しました。

先日の記事にも書きましたが、今、田山花袋著作『温泉めぐり』を読んでいます。その中で頻出する”懐かしい”という言葉。そこを離れがたいという語法で使われているのですが、サンレモンでまさにそんな気持ちになりました。外は雨がぱらついていたのですが、 ガラスの壁と壁の間に水が流れているおかげで、外と中の境目が曖昧になって不思議な心地になりました。

赤いシェードの暖かい橙色のランプが並ぶ姿。それは80年代ファンタジーの世界。ここでいただいたのは憧れのクレープではないけど、最高にファンシーな見た目のメニューを注文しました。その名はピエロフラッペ。フラッペという名前もいい。その色のせいでガチャピンにも見えなくはないですね。気の抜けた表情に童心が爆発しました。どこから食べようか迷いに迷って、顔の横あたりから崩れないようにすくっては食べ、だんだんピエロを細面にしていった。シャリシャリ、どんどんスプーンを入れていく。メロンシロップが体と心に溶け染み渡っていく。なんて美味しいんだろう。帽子に見立てた逆さまに突き刺さったアイスクリームもミルクの味がとても濃厚でキメが細かくて美味しかった。極限まで細くした顔も、だんだん崩れてきて、帽子が横にずり落ちてくると、耳みたいに見えた。グレムリンのギズモみたいになってさらに可笑しい。顔がついたかき氷が好きになった夏の一日でした。
ここはメニューが豊富だからもっと色々頼んでみたいな。
また来る機会がありますように!

f:id:saria444:20170713082418j:plain 

f:id:saria444:20170713083815j:plain

f:id:saria444:20170713082540j:plain

f:id:saria444:20170713082446j:plain

f:id:saria444:20170713083611j:plain

f:id:saria444:20170713082620j:plain

f:id:saria444:20170713082902j:plain

f:id:saria444:20170713082932j:plain

f:id:saria444:20170713082648j:plain 

f:id:saria444:20170713082713j:plain

f:id:saria444:20170713082741j:plain

f:id:saria444:20170713083708j:plain

f:id:saria444:20170713082809j:plain

f:id:saria444:20170713082833j:plain

f:id:saria444:20170713083011j:plain

f:id:saria444:20170713083739j:plain

f:id:saria444:20170808234455j:plain

f:id:saria444:20170808234531j:plain

岡山県倉敷市児島小川5-1-1
【2017年7月訪問】

 

【東京都:銀座】夏氷 特別編*銀座ウエスト

丸ノ内線全駅制覇の旅の記事は、中休み。
8月になったし盛夏に突入したので、かき氷まとめ記事を書こうと思ったのですが、ここのかき氷をまとめで終わらせることはできなかった....。
単体で書きますね。こちら、銀座の老舗 洋菓子ウエスト喫茶室のかき氷、フローズンデザートです

f:id:saria444:20170803230552j:plain

蒸し蒸しする。夏が来たという喜びより先に、まだ体が湿度になれず辟易する気持ちが勝っていた時期でした。新橋からてくてくと歩くたびに汗がじんわりと出てくる。早く涼を取りたい。この日のお目当は夏限定のフローズンデザートです。 こんな陽気には苺の程よい酸味とひんやりとした食感が丁度いいのだ。早く早く着きたい!10分ほど歩みを進めると、あったあった青い看板!相変わらず店頭のケーキやリーフパイが美しい。ショーケース内は宝塚音楽学校の生徒みたいにきちんと並んでいる。整然として礼儀正しく華やかなオーラ。とにかくここは女学校の由緒正しい学び舎のようなイメージがあります。店員さんもクラシックな制服をまとっているからでしょうか。

つい先ほど、お店のtwitterにて「苺の状態があまり良くないため、在庫がなくなり次第終了します」との書き込みを見かけました。残念ながらそろそろ終了かもしれません。
私は告知があって数日のうちに訪問したのですが、その時点で1日10個出せるか出せないかくらいの用意だとのこと。その日の苺の仕入れ状況にもよると思います。現在はどのくらいの数量かは不明ですが、苺の盛りは過ぎていますし、今はとにかくレアなことは確かです。なぜ知っているかって。私は一度限定数に間に合わなかった日があるからです。改めて平日の午前中に参りました。銀座の平日と言ってもあまり曜日は関係ないのですね。既に2組ほどの行列ができていましたがデザートには間に合いました。

WESTは私にとってハレの喫茶店です。歴史、立地も作り手の思いも、感じれば感じるほど襟を正したくなるお店。できれば自分に自信がついているときに行きたいお店です。

しかしちょうどこの頃、気持ちが沈むある出来事がありました。こういう時こそ気場に行こう、と。特に憧れの場所へ。銀座は私のパワースポットです。親しみのある街であり、思いっきり楽しい日々を過ごした街でもあるから。ここで凹んだこともあるけど、立ち直ったという成功体験があるから。そういう街って、それぞれの人の中にあると思いますが、私にとってはそれが銀座なのです。


出てきたフローズンデザートはピンクで丸くて甘い。苺にホワイトチョコレートが混ざったシャーベットをひとくちひとくち口に運んでみる。優しい柔らかな甘み。あぁ、みるみる復活してくる。ちょっとやそっとじゃ私は折れないって気がしてきた。プラセボ効果って大事ですよね。科学的な根拠は知らないけど、効果がある人にはある。でもこんなに元気になったのは、ウエストだからかもしれないなぁ。心のレベルを引き上げてもらった気がします。憧れの人やお店は、いざという時に包んでくれるんだよなぁ。本当はデザートだけにしようかと思ったけど、コーヒーも頼んでしまった。大好きなものを思いっきり頼める日ってすごいありがたい。ありがとうありがとう!

こうして私の夏は始まりました。夏は大好きで、今日も元気です。

f:id:saria444:20170803230721j:plain

f:id:saria444:20170803230747j:plain

f:id:saria444:20170803230806j:plain

f:id:saria444:20170803230846j:plain

f:id:saria444:20170803230903j:plain

f:id:saria444:20170803230929j:plain

f:id:saria444:20170803230949j:plain

f:id:saria444:20170803231010j:plain

f:id:saria444:20170803231024j:plain

f:id:saria444:20170803230826j:plain

東京都中央区銀座7-3-6

【2016年1月他*フローズンデザートをいただいたのは2017年7月】