【東京都:神田】カフェ ビオット 喫茶店のチーズケーキ編
カフェビオットは、神田美倉町にある喫茶店だ。
店先では焙煎中のコーヒーの香りが芳しく、入らずにはいられない。
コーヒーの相棒チーズケーキは、スパイスが効いた大人の味だ。
人生とは海のよう。私たちの人生はそこに浮かぶ船のよう。
海に由来する表現はたくさんあり、今も地上に生きている。
例えば「潮時」もそうだ。
”潮”は船の世界では大事な概念である。
貨物船は貨物をいかに多くいかに安全に運ぶかが大事だ。
船にはそのための安全基準が設けられている。
喫水線(きっすいせん)と言って船にはある一定のラインが設定されており、
船体がそれ以上浮かんでいないと(あるいは沈んでいないと)いけないラインがある。
その目的は複雑で多岐にわたるが、
ここでは特に、浅瀬にいて船の底が海底にぶつからないようにするため、と思っていただければよい。
貨物を積むと、その重量分だけ船は沈下する。
そのため潮汐がふえれば、よりたくさん積めることになる。
船の荷役をする際は、潮が満ちる方を望むことが多い。
でも上部にあるクレーンにぶつかるほど高すぎてもいけない。
潮の高さによる調整は、微妙なさじ加減が必要なのだが、
ちょうどいいタイミングのことを、”潮時”という。
”潮待ち”という言葉は、そのまさにちょうどいいタイミングを待つ、という意味で使う。決してネガティブには使わない。
しかしスポーツ選手等の引退に際し、
「もう潮時ではないか」などと書かれていると、肯定的には感じない。
一般的に”潮時”というとネガティブなイメージを持つ方が多いのではないだろうか。
じじつ、文化庁の国語課の調査では”ものごとの終わり”という意味で捉えている人が多いと書かれていた。
潮時について
問1.潮時とは本来どのような意味なのでしょうか。
答:ちょうどいい時期 という意味です。
辞書で調べてみましょう。
「ものごとを行ったりやめたりするのに適する時。好機。
(出典:「日本国語大辞典 第2版」(平成12年〜14年 小学館))
あることをするためのちょうど良い時期。好機。時期
このように潮時とは本来、あることをするためのちょうど良い時期を表しており、
ものごとの終わりという意味ではありません。
(出典:文化庁 広報誌 ぶんかる 言葉のQ&A 003より)
船の世界で使う”潮時”という言葉は「満ちていく潮」の方がgood timingでしょう。
いっぽうで潮干狩りをしたい人には干潮の方がgood timingでしょう。
海の潮は、満ちるのか引くのか、どちらが好機なのかは、それぞれの世界で変化する。引退とセットで使われる潮時の場合にも、美しく去りたいという美学もあるだろうし、ものごとの終わりがネガティブであるとも限らない。
このように人生の歩みや生き方を表するのに、
海から生まれた言葉を借用していることが多く、とても興味深い。
”人生とは海のよう。私たちの人生はそこに浮かぶ船のよう。”だからでしょうか。
だから海の言葉が好きなのだ。
海の言葉には哲学やロマンが溢れており、素敵だと思う。
(参考図書:「海の英語」佐波 宣平 成山堂書店)
【2017年9月訪問】