純喫茶丸 8knot    〜喫茶店で考えた〜

2015年からの純喫茶訪問ブログ。純喫茶をはしごする船ということで”純喫茶丸”という船の名前がタイトルです。

【東京都:神田】カフェ ビオット 喫茶店のチーズケーキ編

カフェビオットは、神田美倉町の喫茶店。
店先では焙煎中のコーヒーの香りが芳しく、入らずにはいられませんでした。
コーヒーの相棒チーズケーキはスパイスが効いた大人の味。とても好みです。

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人生とは海のよう。私たちの人生はそこに浮かぶ船のよう。

海に由来する表現はたくさんあり、今でも地上に生きています。

例えば「潮時」もそう。”潮”は船の世界では大事な概念。貨物船は貨物をいかに多く安全に運ぶかが大事。船にはそのための安全基準が設定されています。喫水線(きっすいせん)と言って船にあるラインが設定されており、それ以上船体が海上に浮かんでいないと(あるいは沈んでいないと)いけないラインがあります。その目的は複雑で多岐にわたるのですが、ここでは特に浅瀬にいるときに船底が海底にぶつからないようにするために限ってご紹介します。

貨物を積むとその重量分船は沈下します。そのため潮汐が増せばよりたくさん積めます。船の荷役の際は潮が満ちることを待ち望むことが多いかと思います。でもクレーンにぶつからない程度に高すぎてもいけない。潮の高さは微妙なさじ加減なのですが、ちょうどいいタイミングのことを、”潮時”という言葉を用いて表現します。”潮待ち”という言葉はそのちょうどいいタイミングを待つときに使います。時が来るのをワクワクして待ち望むイメージ。決してネガティブではありません。

しかしスポーツ選手等の引退に際し、「もう潮時ではないか」などと書かれていると、肯定的には感じませんね。一般的に”潮時”というとネガティブなイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。実際、文化庁の国語課の調査では「ものごとの終わり」という意味で捉えている人が一定数いるとの認識があったようで、すでに分析がなされていました。

 

潮時について

問1.潮時とは本来どのような意味なのでしょうか。

答:ちょうどいい時期 という意味です。

辞書で調べてみましょう。

「ものごとを行ったりやめたりするのに適する時。好機。

(出典:「日本国語大辞典 第2版」(平成12年〜14年 小学館))

あることをするためのちょうど良い時期。好機。時期

(出典;「広辞苑 第6版」(平成20年 岩波書店))

 

このように潮時とは本来、あることをするためのちょうど良い時期を表しており、

ものごとの終わりという意味ではありません。

(出典:文化庁 広報誌 ぶんかる 言葉のQ&A 003より)

 

 

船の世界で使う”潮時”という言葉は「満ちていく潮」になる方がgood timingでしょう。しかし潮干狩りをしたい人には干潮の方がgood timing

海の潮も満ちるのか引くのか、どちらが好機なのかはそれぞれの世界で変化します。引退とセットで使われる潮時も、美しく去りたいという美学もあるでしょうし、ものごとの終わりがネガティブであるとも限りませんね。

このように人生の歩みや生き様を表現するときに、海から生まれた言葉を借りて表していることが多く、とても興味深いです。”人生とは海のよう。私たちの人生はそこに浮かぶ船のよう。”だからでしょうね。

だから海の言葉が好きです。古くからの神話、年代、国、性別問わず人類共通のテーマで、どのように人生の舵を切るか、視点を変えると見えている世界が変わるとか、心の混沌と秩序のバランスの取り方とか、海の言葉には哲学やロマンが溢れていてとても素敵だと思っています。

 

私という船がたゆたうときは、喫茶店に寄港し、心に補油して秩序と混沌のバランスを保っています。空転しすぎてレーシングしてしまうこともしばしば。そんなときはコーヒーの香りには特に癒されます。

 

(参考図書:「海の英語」佐波 宣平 成山堂書店) 

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東京都千代田区神田美倉町1番地

【2017年9月訪問】