【高砂】アイドル
前回の記事が横浜の石川町にある喫茶店モデルだったので、
今回紹介する喫茶店は〈アイドル〉にした。
このフォントデザインは、NHKテレビ小説『あまちゃん』で若き春子が、
アイドルを目指しながらアルバイトをしてた喫茶店〈COFFEE SHOP アイドル〉のモデルでは?と噂になった。
メニューにあった〈アイドルブレンド〉が、なにやら甘そうな響きがする。
階段のMENU表は、バラに囲まれアイドルのステージ風だ。
これをみて、思い出さずにいられないの
〈夜のヒットスタジオ〉での松田聖子さんのステージだ。
曲は〈赤いスイートピー〉か〈ロックンルージュ〉あたりかな。
どうやら私の好みの喫茶店には、
クリーム色のレースのカーテンがあるようだ。
窓側に座れたら、それだけで幸せになる。
落ち着く理由は、幼いころの我が家の応接間の寝室が、
こんなデザインのカーテンを使っていたからだろう。
アイドルのプリンアラモードは、背伸びしすぎず、庶民派で親しみやすい雰囲気だ。
愛嬌のある、手の届きそうな場所にいるアイドルってところかな。
そう、私は松田聖子さんが好きだった。相当、ませた子供だったと思う。
普通の子供よりも早い時期にアイドルに憧れた。
アイドル雑誌を読んでいたら、記者が聖子ちゃんを分析して、
「赤いスイートピーを出したあたりから、自分の足で歩くことができるようになった」というようなことを書いていた。
幼な心に、
「聖子ちゃんは怪我でもして歩けなかった頃があったのだろうか。」
と心配した。
と思ったけど、少し成長して、比喩や例え話が理解できるようになり、
あれは“自立した大人になった”という意味だったと知るのだった。
喫茶店〈アイドル〉で、私が初めて出会ったアイドルについて、思いを巡らせた。
あなたのアイドルは誰ですか?
この日のお供は『ナインデイズ』河原れん著だ。
東日本大震災の際の、岩手県災害対策本部の闘いを描いたフィクションだ。
もうすぐ今年もあの日がやってくる。
311を忘れないようにと、私のアイドルが思い出させてくれた。
【2015年9月訪問】