純喫茶丸 8knot    〜喫茶店で考えた〜

2015年からの純喫茶訪問ブログ。純喫茶をはしごする船ということで”純喫茶丸”という船の名前がタイトルです。

【東京都:入谷】オンリー千束店

 今日はオンリーの千束店。オンリー三店舗のうち最後の紹介になる。各線浅草駅からも徒歩圏内だが(都営浅草線だとちょっと遠いかもしれない。)日比谷線入谷駅からもアクセスできる。ここの来るには都バスで浅草四丁目停留所で降りたり、浅草駅から歩くことが多い。

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こちらではホットケーキをいただいた。これも純喫茶あるあるですが、注文したメニューが珍しいと、常連さんから歓声があがる。
「ホットケーキなんてあるのね?」
「珍しい注文ね。」
「ゆっくりして行ってね。」
ここでは常連さんもママ目線。最近某アイドルさんがこちらで撮影された様子。
常連さんが「最近きた女の子、そこで食べて行ったよ。記念に撮影していきな」という。そのことを存じ上げなかったのですが、最後に店内を見せてもらっている時壁に雑誌の切り抜きが貼ってあり、可愛らしい女の子が黄色いシロップのかき氷を食べていた。結局どなたなのか不明のまま。

ジャコブスラダー再び。

ここからは船のマニアックな話になるのでお好きな方だけ...。
最近「海辺のカフカ」を読了しました。
この本は一言で言うと文化の参考書のような感じで。文豪、作曲家やクラシック音楽のこと、哲学、名フレーズが随所に散りばめられており、知識があったらさらに楽しめるだろうと思いながら読んだ。心に刺さる名言も多数あり、その時々の心情に沿い、優しく心を撫でてくれるような気持ちが救われる瞬間もくありました。いって見れば、雲の割れ目から陽の光が差し込んでくるような気持ちになる本。この雲の割れ目から陽の光が差し込んでくるという表現は何度か本書に出てくる。

雲の割れ目から差し込んでくる陽の光とは、天国から降ろされたはしごのメタファー。聖書に出てくるお話ヤコブ天使の梯子の事。このヤコブ天使の梯子のことを英語でジャコブスラダーと言います。

このブログを最初から読んでくださっている方はお気づきかもしれませんが、船の専門用語にも”ジャコブスラダー”というものがある。

 

 
kissafreak.hatenadiary.jp

 

ジャコブスラダーとは、船の脇に吊るされた縄梯子の事で、パイロット(水先案内人)が海上の小舟から船に昇るために使用する。この名称は聖書のお話、ヤコブ(ジャコブス)の梯子が由来の船用語だ。

人生の碇

海辺のカフカ内では、他にも

人生を

碇を失った船のよう

だとか、

恋する胸の痛みを

その痛みは碇となって、僕をここにつなぎとめていてくれる。

などなど。船にまつわるフレーズが随所に出てくる。
人生の舵取りなど、人生を舵で比喩するのはよく見るが、碇の比喩は新鮮。船好きとしてとても興味深く読んだ。船がある程度動かないようにするため、鎖の重さや海底の地質も大事。きちんとつなぎとめられているのであれば、鎖の重みも碇と海底の地質の相性が良かったのだろうと、私は海底の事まで考えていた。少しマニアックだと思った。

しかし......

海の底ってどうなっているんだ?

という文章を後に見た時は驚いた。村上春樹氏はしっかり海底のことにも言及している。海の底についての説明を見たことのない人に説明するのは難しいから水族館に行こうとする場面も出てくる。

二人で水族館に行ってみようぜ。

しかし、水族館にいくことは叶わなかった。海底の謎は解けなかった。でも結論がわからず白黒つかない人生を歩むことについては本書のテーマでもあるので、海底の謎があきらかにならなくてもそれはそれで良い。

地獄にホットケーキ

そして喫茶店好きの私にとって、とりわけ好きなフレーズがこれだった。

『地獄にホットケーキ』

 

とても重い石をひっくり返す場面で、唐突にホットケーキと出てきたので目が釘付けに。さらに調べてると『地獄に仏』ということわざをもじったものだそう。

(ちなみに、地獄に仏の意味は、困窮しているときの願ってもない助け)

本当に地獄でホットケーキを見たら、地獄に仏なのは確かだ。困った時の助け船のようなものだ。本書を読むとコーヒーが飲みたくなり、ホットケーキが食べたくなった。ホットケーキが自慢のオンリーの記事で、『海辺のカフカ』の感想を書くのは素敵な偶然だと思う。

 

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東京都台東区浅草5-17-2

【2017年7月訪問】