純喫茶丸 8knot    〜喫茶店で考えた〜

2015年からの純喫茶訪問ブログ。純喫茶をはしごする船ということで”純喫茶丸”という船の名前がタイトルです。

【東京都:上野】カフェラパン 喫茶店のモーニング編 *船名〇〇丸の話

喫茶店のモーニングシリーズ。今日は上野のラパンです。

f:id:saria444:20171027114450j:plain

最近、雑誌内の喫茶店特集で目にすることが多いラパン。来てみたかったんですよね。実は以前紹介した珈琲家さんの後にモーニングはしごしていました。上野はなかなか来れないので行ける時に行っておこうって、貧乏性なんです。

kissafreak.hatenadiary.jp

 ラパン うさぎが舞い込んだ異世界

大きな窓のある奥の席。仕切りがあって半個室のようです。お天気が良く店先の緑がお手入れされていてキラキラ光っていました。気持ちいい!店員さんはいい感じでほっておいてくれるしとても居心地が良かったです。卵トーストはゆで卵を潰してマヨネーズで和えたものをトーストしたものだとのこと。とろっとしすぎず卵の食感が残っていて絶妙。それに耳がハードタイプで美味しい。喫茶店のパンとしてなかなか美味しい部類に入ります。

さて最近船についての話題を書いていなかったのでこれから書こうと思います。興味のある方は下までスクロールしてお付き合いください!喫茶店で読んだ本からの船のあれこれです。

f:id:saria444:20171027114529j:plain

f:id:saria444:20171027114606j:plain

f:id:saria444:20171027114645j:plain

f:id:saria444:20171027114711j:plain

〇〇丸の由来について

今「随筆 船」(NTT出版)と言う本を読んでいます。昭和10年代の文章なのですが、書かれていることや問題提起などは今にも通ずるものがあります。一つの章が5ページ程度のエッセイが幾つかまとまった本でとても興味深い。商船の設計や速力、流線型、舵、トン数のことなどが綴られています。そこまで専門用語満載ではなく比較的易しく書かれているから私でも読めます。

その中でも私が特に興味を持ったのが”丸”という章。そもそもその”丸”とはいったい何なのかということが書かれた章。日本船は〇〇丸という名前のものが多いのです。例えば、横浜に係留されている氷川丸や、練習船日本丸海王丸東京海洋大学越中島キャンパスに展示してある有形文化財 明治丸などに見られます。当ブログ名も”純喫茶丸”と名付けたし、船名”〇〇丸”の由来についてブログ記事内でも紹介しようか思い、
今日このテーマで綴っています。

現在、日本の船に〇〇丸というものが多いのは、明治に制定された訓令”船舶取扱法手続き”内の条項に”船名には丸とつけること”(意訳)とあるので、こんにちまで長年の慣習で〇〇丸と付けられてきました。(ただし「平成13年の訓令改正で同条項は削除・廃止」

「随筆 船」によると

古くは平安時代から○○丸という船名が文献で確認出来るといいます。ただしその起源が何であるかには諸説あり、中でも根強いのが、

  • 『麿』の転用であるというもの。時代劇で『麿は 〜』というセリフを目にしたことは有るでしょう。自分のことを愛称のように麿と呼んでいた。それがやがて、敬愛の意味で人につけられるようになり、それがさらに愛犬や刀など広く愛するものにも転用された。例えば現代風に解釈すると、犬の名前に”コロ助”(コロ丸?)などとつけるのと同じ。親愛や愛情を込めて船にも丸をつけたというもの。この説はわかりやすいためか支持されているようです。私にもなんとなくしっくりきます。

 

  • 二つ目の説は屋号としての丸であること。(屋号とは商店や歌舞伎役者などの、家の呼び名。また、個々の家屋敷の通称)。享保年間の書物にその頃存在した問丸(*1)についての記述で『古くは家名を丸と呼ぶ。今の屋号である。つまり問屋を問丸と呼ぶ。だから船の名称を何丸と呼ぶ。基本は家名の屋号なり』(意訳)との記述があるようです。屋号であるとすると、海上生活する人々にとって船は家、屋敷と同じものという観念でしょうか。これもすんなり理解できます。ちなみに問丸とは港町での海上物流を行う組織のことで調べてみると以下のようにありました。

(*1)問丸-鎌倉時代から戦国時代にかけて問丸(といまる)は、年貢米の陸揚地である河川・港の近くの都市に居住し、運送、 倉庫、 委託販売業を兼ねる組織。問(とい)とも呼ばれる(出展:weblio)

  • 最後の説はお城を意味するものだということ。城郭のことです。本丸、二の丸、丸の内など、お城を意味する地名はたまに現代でも耳にします。戦国時代の豊臣秀吉は某軍船の出来栄えを見て、「日本の出城・日本丸」と名付けたと言われています。船は海に浮かぶ城(出城)であるから「○○丸」と呼ぼう。としたとする説。。

以上、どれももっともらしい諸説がありますが、どれが起源かは判然としていないようです。古く、丸がついた船の記述は室町時代に”月丸”、足利時代に”御所丸””八幡丸”などが文献で認められており、専門の博士によるとその起源は鎌倉時代に起こったものであろうと推測されているようですが、未だ判然としていないというのが結論です。

 なぜ船に名前をつけなくてはいけないのか?というのは戸籍のように船について、しかるべきところに登録しなければいけないからです。

2017年現在、訓令改正により船名に丸をつけなくても良くなりました。でも、現場では船名を訪ねる時、未だに『それ何丸?』と尋ねられることがあります。これは船会社あるあるではないでしょうか?でも概ね『本船名は?』と聞く人が大半ですが...。

人も船の名付けも時代とともに....

船に丸をつけなくて良いとしたのは時代の流れでしょうか。人の名前も時代の傾向があります。だから必ずしも丸をつけなくても良いとしたのは新しい風のような気がします。現在は私の知る限り、地名や万葉集の歌などにちなんだ(丸なしの)船名があります。ですが未だにキラキラネームの船には出会っていません。きちんと由来のある意味のある名前をつけているように思います。が、丸をつけなくても良くなったといえども、丸がつく船もなかなか渋く感じます。丸をつけてもつけなくても素敵な船名が付いています。あぁ船はかっこいい。(参考図書:「随筆 船」和辻 春樹(著) 野間 恒(編)NTT出版

【2017年9月訪問】

東京都台東区上野3-15-7