純喫茶丸 8knot    〜喫茶店で考えた〜

2015年からの純喫茶訪問ブログ。純喫茶をはしごする船ということで”純喫茶丸”という船の名前がタイトルです。

【静岡県:熱海市】サンバード*川端康成の波千鳥とともに*

熱海駅に出迎えていた車が伊豆山を通り過ぎ、やがて海の方へ円を描くように下っていった。宿の庭へはいっていた。傾いた車の窓に、玄関の明かりが近づいて来た。(出典:「波千鳥」川端康成

これは川端康成の小説「波千鳥」の冒頭文。
千羽鶴」の続編として書かれたものですが、日本の自然風景がたくさん盛り込まれており、豊かな四季の色を感じる彩りあふれる名作だと思います。

小説の冒頭は主人公が新婚旅行で訪れた熱海が舞台となっています。

熱海の東海岸へ向かうには、来宮駅から長いくねくねした坂を下り海岸へ出ます。純喫茶サンバードは熱海駅のお隣来宮駅が最寄り駅なのですが、「波千鳥」の冒頭のように坂道を宝石のように光る波を家々の間に見つけながら、海岸線へ降りるまでの景色が好きです。「波千鳥」というタイトルも詩趣に富んでいますね。

波千鳥とは妻の千鳥模様の襦袢の裾を見て、主人公が描いた世界観です。

淡海の海 夕波千鳥汝が鳴けば 情もしのに古思ほゆ
(あふみのうみ、ゆふなみちどりながなけば、こころもしのに いにしへおもほゆ)-万葉集: 柿本人麻呂

主人公は妻の襦袢に描かれた千鳥を見て、柿本人麻呂の歌を思い出し『これは波千鳥だね』と褒めたセリフがタイトルとなっています。

ちなみに歌の大意は、”昔を思い出してしんみりしてしまう。”という意味です。

これは小説「波千鳥」のテーマでもあるし、主人公の心の迷いをありありと浮かび上がらせる鍵となる場面です。柿本人麻呂は琵琶湖についてうたったものですが、小説「波千鳥」では熱海の海の描写と重ねています。この小説美しいです。他にも波が星のようだとか、海がピンク色だとか。主人公の妻のアクセサリーの真珠、夕焼けの空と波がぼやけて海の色がピンク色に見えているのです。この本を読んで熱海のことを懐かしく思い出したので、今サンバードの記事を書いています。

 

サンバードはアメリカンダイナーのようなカウンターが見事です。海岸沿いにあるので窓側に座ると異国情緒を感じます。そういえば、昔航空会社の仕事をしていた時に、窓側の席を「窓際(まどぎわ)」と言わないようにとても厳しく注意されました。本当にまどぎわの人が聞いたら怒るからだそうです。日本語は正しくですね!

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静岡県熱海市東海岸町2-15

【2017年3月訪問】

【今日の(元外航船員の)伯父の写真】

純喫茶のインテリアにアメリカンダイナーのよう。という形容詞をよく使いますが、これが本当のアメリカンダイナーです。昭和30年代に取られたアメリカのカフェのウエイトレスの写真。制服がとても可愛いですね。某テーマパークのレストランでは今でもこんな衣装が見られます。私も着ていました....。

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