純喫茶丸 8knot    〜喫茶店で考えた〜

2015年からの純喫茶訪問ブログ。純喫茶をはしごする船ということで”純喫茶丸”という船の名前がタイトルです。

【東京都:新大塚】エデン (ゑでん)喫茶店の旅 丸ノ内線全駅制覇の巻その23*新大塚*

丸ノ内線全 駅制覇の旅のつづき。今回は新大塚のエデンだ。
看板はカタカナ表記だが、マッチのロゴは「ゑでん」の表記だ。

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そういえば雨が似合っていた。

その日は雨だった。春は名のみでまだまだ肌寒い3月の夕方のこと。
駅からすぐのエデンに向かうだけなのに、雨が嫌だなぁと思ったわけだが、
いざ喫茶店に入ると、雨が降っているのも悪くないとも思う。
窓からみる雨模様は悪くない。
最近、瀬戸内海でみたカリフラワーのような夏の積み雲のことで頭がいっぱいの私は、喫茶店には雨が似合うという感情を忘れていた。

エデンのガラス模様は雨のカーテンに似ていた。外は本物の雨だけど、インテリアもが雨の模様だった。雨のカーテンに見えたのはブラインドだ。
本物の雨のしずくとグラデーションになっている。席にすわり、ピンクの電話が置かれたカウンター越しに、入り口の雨のカーテンを眺めると、とても穏やかな時間をすごせた。

髪結いの亭主を彷彿

このインテリアは床屋さんを彷彿とさせる。

以前、パトリスルコントの映画にはまっていた時があった。その時見た『髪結いの亭主』は好みだ。主人公アントワーヌは、初恋の相手が床屋さんの夫人である。
床屋の夫人が、こういうカウンターでお客さんを待っている。主人公は彼女に髪を洗ってもらったときにふと漂った芳しい香りのせいで、すっかり恋に落ちてしまう。その恋は成就しなかったが、2番目に好きになった人と結婚する。
フランス映画は静かに人の心を語るので好きだ。

日常に馴染む奇跡の喫茶店

ゴブラン織りの壁に、グリーンのソファにピンクの電話とガラスの扉。それと〈純喫茶〉という看板が完璧だ。ただ座っていたい、この雰囲気に囲まれていたいと思える貴重な喫茶店だ。好きな純喫茶をTOP10を選ぶ権利がわたしにあったら、エデンをまずあげる。勉強している学生や、どうやら保険の勧誘をしている風な女性と男性がいたりする。ひとの気の流れがある喫茶店が好き。新大塚駅はこの時初めて下車したが、新大塚だからこそこういう喫茶店が残っているのかもしれない。エデンは奇跡的に、外観もインテリアも究極にいい状態で残っている。どうかこのままでいてほしい。......ダイナミックに街を変貌させようとか、そういう思惑から遠く離れた街でありますように。

今度は晴れの日に行ってみたい。晴れの日にエデンにいったら、どんな思いがよぎるのだろう。

ここはプリンが美味しい。手作りの蒸した硬いタイプだ。かぼちゃのケーキも食べてみたいし。絶対にまたくる。大塚や新大塚は、ほかにも商店街が活きていて、もっと時間をかけて散策してみたい。なぜか夜に来ることが多いが、今度は太陽のもとで何かを感じに来ようと思う。

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東京都文京区大塚4-52-5

【2017年3月訪問】