純喫茶丸 8knot    〜喫茶店で考えた〜

2015年からの純喫茶訪問ブログ。純喫茶をはしごする船ということで”純喫茶丸”という船の名前がタイトルです。

【東京都:東京】アロマ 喫茶店の旅 丸ノ内線全駅制覇の巻その17*東京*

丸ノ内線全駅制覇の旅のつづき。今回はいよいよ東京駅だ。東京駅は広い。
東京人でも迷う。アロマは東京駅の喫茶店だ。ヤエチカという愛称の地下街にある。

丸ノ内線で降りたらすこし歩く必要がある。ひたすら反対側の八重洲口に向かって、進むのだ。丸の内線のある丸の内口と、アロマのある八重洲口は、JRの地下街の連絡通路で結ばれている。この通路の入り口を探すのにも最初は一苦労だった。
てっとりばやいのは、JRの改札に入って、駅構内を突っ切って通過するのがいいのだが、そうするにはJRの入場券が必要だ。

入場券を買うのはもったいないから、頑張って上記の連絡通路を歩く。
(グーグルマップ先生によると徒歩15分くらい?と出てきた。)

f:id:saria444:20170702234904j:plain

八重洲地下街ヤエチカには、カフェは多々あれど、
アロマは純喫茶らしい雰囲気を残している貴重なお店だ。

人気店なので、お昼は満席の時も多いかもしれない。
この日は、隣の人と至近距離だった。
ところ狭しと並ぶテーブル席に座って、トーストを食べ、コーヒー飲んでさっとでた。

バスケットに入った厚切りトーストは、焼き加減が抜群だ。
小倉あんを追加で頼んだ。
東京で小倉トーストが味わえる貴重な純喫茶だ。
店内で売っているアロマのロゴ缶も可愛い。
部屋に並べたら可愛いだろうなと思いながら、まだ買っていない。

 

最近は吉本ばななさんのエッセイを読んでいる。
今は『下北沢について。』という本だ。
本書では、ばななさん下北沢の人々との交流が描かれ温かさが溢れている。
この本を読むと、地元の商店街にある個人商店や飲食店を
大事にしたいな、と心底思う。

ばななさんは飲み屋さんの話の流れでこんなことを書いていた。
私は妙にうなづいた。

お店によって自分のモードを変えなくてはいけなかったり、少し構えてみたり、自分がほんとうは何を欲しているかを考えたり、そういうことはやっぱり人生の楽しみのひとつだと思う。画一的な接客はつまらない。
同じようなお店にばかり行ったって何も空気が動かない。
自分の中の子供が退屈してしまう。出典:「下北沢について」吉本ばなな

 

非常に理解できる。私が喫茶店に行くときの気持ちに似ている。
空気感を大事にしている。
インテリアなどの物質的な点で喫茶店に惹かれている部分もあるが、
一番大事なのは、働く人やお客さんの空気だ。
温度や色を感じたい。表情や、声の高低加減、響き方がそれぞれ違うところがいい。
つくり笑いやうそいつわりがない。伝わらなければいいかえたり、声の大きさを変えたりする。黙っていたい時は言葉が少なくてもいいし、誰とも目を合わせないで過ごしたい日はそうしてもらえる。


その日の天気や体調によって、行きたい街や、食べたい物を自分に問う。
いろいろな喫茶店を巡る時の気持ちは、たくさんの要素で溢れている。
茶店は食べ物は美味しいし、心は平和になるし、健康的な趣味を見つけたなぁ、と我ながら満足している。

このお店のアロマというネーミングがとてもいいと思う。
”芳しい”という言葉は、心が惹かれる好ましい、素晴らしい香りを表現するときに使う。さて、コーヒーが芳しいと思えるようになったのはいったいいつからだろう。
子供のころ、コーヒーって苦いし、なんでこんな飲み物を大人は美味しいって言うんだろうと。好奇心で飲んでみたいと思うけどやっぱり苦くて、
一口で後悔したことを思い出す。

 

本来の私は、まいかい同じメニューを頼むより、知らないものを選ぼうとするタイプだ。だからコーヒーも馴染みのない国の豆のストレートを頼んだり、そのお店独自のブレンドをオーダーする。これが食べたいなとか、これが欲しいな、とか欲しいものがはっきり言えるときが健全な時である。とくに何を食べたいか、まとまらない時や、なんでもいいから決めらない、という言葉を発する時は、非常に疲れている、というバロメーターになる。
そういう時は、コーヒーに強い好奇心を抱いたこどもの頃を思い出し、
その退屈知らずの無邪気さを取り戻す。そのトリガーは、コーヒーのアロマだと思う。コーヒーの香しさが、私にとっての癒しなのはそのせいかもしれない。

f:id:saria444:20170702234927j:plain

f:id:saria444:20170702235055j:plain

f:id:saria444:20170707124442j:plain

f:id:saria444:20170702234949j:plain

f:id:saria444:20170702235023j:plain

f:id:saria444:20170702235125j:plain

東京都中央区八重洲2-1 八重洲地下街 八重洲地下1番通り

【2016年5月訪問】