純喫茶丸 8knot    〜喫茶店で考えた〜

2015年からの純喫茶訪問ブログ。純喫茶をはしごする船ということで”純喫茶丸”という船の名前がタイトルです。

【東京都:大手町】喫茶室サンマリ 喫茶店の旅 丸ノ内線全駅制覇の巻その18*大手町*

丸ノ内線全駅制覇の旅のつづき。今回は大手町駅だ。
サンマリは、大手町駅直結のレトロなビルにある喫茶店である。
このガラスに書かれた金色の文字のフォントがかっこいい。

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最初にレトロを感じた頃を回顧

もう何年も前のことだ。 私が最初に勤務した職場は、こんな感じの地下鉄駅直結のビル内にあった。
そこはビル”ヂ”ングという表記のレトロなビジネス街のビルだ。
だから、サンマリのようなレトロなオフィス街の喫茶店を見つけると、お昼休みにホッと一息ついたあの時の気持ちを思い出す。
ナポリタンを懐かしい!と感じはじめたのもあの頃だった。
このたたずまいが好きで、サンマリにはもう何回も訪れている。

仲間に入れてください!


ここにきたらその時の初々しい気持ちがよみがえる。
思い返せば、サービス業で接遇マナー教育が厳しかった。
仕事中は慢心というものがときどき顔を出すが、目の前にいるお客さんはこの場に来るのが初めてだ。接客はナマモノだ。まいにち初心に戻り、フレッシュな気持ちで対応をしようと意識しながら働いていた。そういう心構えは、こうしなさいというマニュアルはないが、私なりに、人として人に対する礼儀を身につけられたのは幸せだった。

お客さんの中には要求をうまく伝えられる人もいるけど、口数が少なくて要求を伝えるのが苦手な人もいる。そういう人にはいろいろ質問を変え、言い方を変え要望を引き出すようにした。私にとっての真心とは、誰にでも同じ対応、受け答えを提供するのではなく、人に合わせて対応をアレンジすることだと思う。人を受け入れる器の大きさは誰に対しても同じ大きさでありたい。常連さんはありがたい。でも私にとっては、初めて利用する方だってお客様はお客様だ。せっかくだから満足したいと思う気持ちは、誰でも持っている。常連さんも新規さんも。何回も利用できる人、そうじゃない人。事情が違うだけでみんな同じ人だ。提供する側が常識と思っていることも、それを知らない人もいるんだということを忘れてはいけない。私はサービスを提供する側にもいたし、サービスを受ける側も多数経験しているから、その人に真心があるかどうかは、なんとなく気づいてしまう。慇懃無礼という言葉が一番苦手な言葉だ。

サービス業を経験すると優しくなるのワケ

 


就活の際、合格者体験記集か何かで読んだのですが、”今まで受けたサービスで感動したものは何ですか?”という質問に対する答えで、
今でも印象に残っているものがある。

「常連さんだけでなく新規さんも大事にしていた店員さんの姿勢。さみしそうにポツンとしている見慣れないお客さんの様子に、すぐに気づいて話しかけていた店員さんが素敵でした。」というエピソードを語った方がいた。
店員さんも優しいけど、それが素晴らしいって感じた人の感性も素敵だ。


サービス業を経験すると人に優しくなれる、とも言う。いろいろな人を相手にしているから、中には困った要求や理不尽なクレームをする人も見てきた。接してきた人の絶対数が多いから、これから出会う人も大抵どこかで出会った人に似ている。大抵の困ったちゃんでもその心理が見えて、微笑ましく見ていられることが多くなる。お医者さんのカルテみたいに対応策ができているから、心の準備ができる。心配性だから知らないタイプの人に出会うのが一番怖いので、でももういろんなタイプの人と出会っているので怖くない。でも人の対応ってある程度得意になったけど、そういう気遣いをし続けていると、やはり疲労感が出る。

ご褒美が多くたっていいじゃない!

そんな時、休憩時間に喫茶店に立ち寄った時のホッとした感じを思い出す。すごく柔軟に温かくもてなしてくれる喫茶店に何度救われたことか。茶店のマスターやマダムはサービス精神の見本だと思う。

サンマリに来て、好奇心と向上心に溢れ働いていた頃のことを思い出した。似たようなレトロビルで働いていた時の。でも大抵はいい思い出だ。好きでついた仕事だからちょっとの苦労と、のこりほぼ9割が幸せな時間だった。

ここのパン甘くて美味しい。そしてビジネスマンがスーツでアイスコーヒーを飲んでいる姿がインテリアのように馴染む。ビジネス街の大手町らしさが溢れるいい喫茶店だ。レースの薄いカーテンからすけるガラス窓。カウンター周りの整頓されたグラスたち。愛想のいい気のいいマスター。喫茶店に来て、日常で辟易する前にチャージをするのだ。喫茶店がオフィスの近くにあったら癒される。そうやって心を持ち直しながら生活していく。私にとっては、心の潤いを補給する喫茶店がなかったら....と思うとちょっと怖い。ここに来ればなんとかなる!という駆け込み寺みたいなものだ。頑張ったご褒美といって、毎日来ているけど、これでも私の燃費はいいほうだと思う。

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 東京都千代田区大手町1-6-1 大手町ビル B2F

 【2017年4月訪問】