【東京都:虎ノ門】フーガ 虎ノ門で潮待ち
新橋周辺の喫茶店シリーズをお届けする。フーガは、虎ノ門にある喫茶店だ。
ビルの谷間の地下にある町の喫茶店だ。
こんな感じのお店を虎ノ門で見つけた時の感動たるやご想像いただけるだろうか。
モチーフは音楽のようだ。階段の踊り場にある看板はバイオリンと、ト音記号だろうか。シルバーなのがシャープな音色が聞こえてくる
インテリアをみると、アットホームな喫茶店という印象だ。
この加減が、肩の力が抜けるし安心感がある。
虎ノ門周辺は、おしゃれだったり、かしこまったりガヤガヤの居酒屋か(それも好き)、逆に老舗すぎて肩肘張ったりしてしまう。
だからこそ、こういうスタイルの存在はありがたい。
さて、私がここで過ごしたのは〈潮待ち〉のためだ。
潮待ちというのは、船員用語だ。現場で日常的に飛び交っていた
私の好きな専門用語のトップ3だ。
本来の意味は
”潮流を利用して、航行する船が潮流の向きが変わるのを待つこと”だ。
面白いことに、船に対してではなく人間に対しても使うのだ。
”時間つぶしする”という意味だ。
例えば、アフター5(6?)に待ち合わせがあるとする。
それまであと小一時間ほどあって、社内で手持無沙汰にしていると、
社内ではこんな会話がなされる。
「お疲れ様。まだ残業してるの?」
「いえ、待ち合わせまで潮待ちしています」と。
ここフーガでは、まさになんどか「潮待ち」をした。業務後の習い事まで、時間が少しあったからだ。
ちなみに「潮待ち」という言葉には、楽しみであるというニュアンスが含まれる。
気乗りしないことを待つときには、使わないそうだ。
潮待ちで1時間弱を過ごしたフーガである。この当時は、能町みね子さんの『きまぐれミルクセーキ』を読んでいたので、ミルクセーキをひたすら頼んでいた時期だ。
新しくはいったバイトらしきお姉さんが、ミルクセーキを作るのに、奮闘していた。
おいしかったので、この味をぜひ守り続けてほしい。
というわけで、この日のお供は『きまぐれミルクセ〜キ』 (能町みね子著)だ。
【2016年6月】