【東京都:湯島】みじんこ 喫茶店のホットケーキ編
今日は湯島のみじんこ。こちらも愛読中の喫茶店ガイドブックに掲載されていたお店。ぴあムックの『東京喫茶名店100-大人がゆったり時を過ごせる名喫茶へ』という本を大変参考にしている。
大人がくつろげる喫茶店
みじんこは、比較的あたらしくオープンしたお店であり、いわゆる純喫茶ではないかもしれないが、私の純喫茶の定義は”純粋に好きな喫茶店”の略なので、こちらを紹介したい。店内は一枚板の重厚なカウンターが印象的で、シックで落ち着いた内装に心が静まる。
満月のような丸いホットケーキ
まるい満月のような綺麗な二段重ねのホットケーキは、ふんわり口の中で溶けるタイプ。ここは自家焙煎珈琲店なのでスペシリャリティコーヒーも注目ポイントだ。メニュー表には豆の産地による味の違いがチャート形式になっていて選びやすい。チョコレートの香り、果実の香り、ナッツの香りなど、ひとめでわかるのがいい。
私は”ナッツのようなコク”というフレーズに弱い。
そしてこのコーヒーが美味しかったので、姉妹店のアンモナイト(AMMONITE) (本郷三丁目/喫茶店) - Retty
をはしごした。少し遠いが徒歩圏内だ。
幸福号出航
さて最近読んでいる本は、三島由紀夫氏の”幸福号出航”だ。
タイトルでわかるが、船にまつわるお話。内容もさることながら船好きにははまってしまう本。
例えば、船のオーナーが船を手放す時には、船長と乗組員ごと売り出す(場合がある)とか、船の中の役職で、英語がなまったまま定着した海運用語 ”No.1 Oiler”=操機長を”なんばん”と呼ぶことなどが書いてある。
(なんばんは、ナンバーワンを”なんばん”となまっている)
特に機帆船についての記述が面白い。機帆船というのは、元来推進用の動力として熱機関を併用した帆船のことだったが、いつのまにか帆の付いていないものもそう呼ぶようになり、主人公の敏也は、手に入れるはずの船は帆船のつもりでいたのに、帆が付いていなくてがっかりしていたから、ここで機帆船の定義について理解が深まった。
第二次世界大戦後は、小型鋼船の対義語として帆走設備を持たなくとも在来型木造船なら「機帆船」と呼ぶこともあった。(参照:wikipedia)
上記引用のように、この本が書かれた時代(1955年(昭和30年))はちょうど呼び名の変更の過渡期だったことがわかった。
この本には気になる船用語がたくさんでてきて、付箋だらけになった。相変わらず最近のベストセラー本ではなく古典や昭和の本を読んでいるが、機帆船のくだりしかり、本が書かれた当時の日本の流行などを知ることができるから、時代ものを読むことが好きだ。
【2017年3月訪問】
東京都文京区湯島2丁目9−10
【東京都:銀座】水コーヒーどんパ *2018年1月20日閉店*
今日のお店は、銀座名物ニッキコーヒーで有名な
水コーヒーどんパ銀座店。惜しまれながら1月20日で閉店した。
オンとオフのはざまで
内幸町、日比谷〜銀座あたりは歩き慣れた町だ。いろいろな職場を経験したけれど、不思議とこの近辺が多い。業務後にふらっと彷徨うのは銀座や新橋。ビルの明かりやネオンがある程度ある方がいいみたいだ。テンションが上がるから。自分のオンとオフモードの変わりようは結構感じる。銀座は、姿勢を正さないとその街のオーラに負けそうで、ちょっと元気なときに来る街だ。そうやってテンションを引っ張り上げてもらう街。水コーヒーどんパは喫茶店を巡るようになってから意識したお店。ずっと通り過ぎていたけれど、ここ3年間で集中して何度か通った。特に閉店のお知らせを聞いた12月からは毎週来た。
カプチーノの進化系 ニッキコーヒー
ニッキコーヒーはカプチーノの進化系だとお店の看板にあった。カプチーノは最後にシナモンをトッピングしてあるだけだが、ニッキコーヒーはニッキがコーヒーに馴染み、味が染み込んでいてとても美味しい。料理いうと、素材の組み合わせやトッピングで楽しむイタリアンと、煮込んだり調味料の味の染み具合がものをいう和食との違いのように感じる。ニッキコーヒーは日本式のカプチーノ。まろやかでとても好みだ。最初は好みでなかったのに、最近とてもおいしく感じられるようになってきた。健康飲料とあるから、不健康だから美味しく感じるのか?体が欲しているのか?
銀座の高級感と庶民派の両立
チーズトーストもパン自体が美味しく、パンの厚さや焼き加減にチーズのとろけ具合が最高だった。シルバーのトレイというのも純喫茶ならではでテンションがあがる。
こちらでいただいたことがあるのは、水コーヒー(アイス)、水コーヒー(ホット)、水ニッキコーヒー(アイス)、水ニッキコーヒーマイルド(ホット)、コーヒーゼリー、チーズトーストだ。銀座の華やかな雰囲気と昔ながらの喫茶店の両方のいいところが調和されたいいお店だったので、閉店はとても残念だ。
【2015年9月訪問他】
【東京都:志村三丁目】次男房 喫茶店のホットケーキ編
今日は志村三丁目の次男房。
次男”坊”ではなく”房”なのだ。大通りに面しているドライブインのような喫茶店。
・ナインスアベニューの日本船にて玉ねぎの積荷を八時間。
熱気と汗でぐったりとした。
・第三十八埠頭で八時間、楽しい一日。仕事は次々あったが、きつくなくしかも相棒が良かった。
さて、上記は私の一日ではなく、最近読んでいる本、エリックホッファーの『波止場日記』からの抜粋だ。こちらは労働と思索についてつづられているエリックホッファーの日記だが、とても腑に落ちる点が多い。
特に十月五日の日記に大いにうなづける。
特にうんざりした日になるのは、決まって仕事のせいではなく、ときどき仕事にともなって生ずる不愉快なことのためである。性急さ、争論、あつれきなどで疲労し、また気落ちするのである。五分間口論するより、五時間働いた方が良い。(引用「波止場日記」)
そう。五分間口論するより、五時間働いた方が良いのだ。
私が年中動き回ってしまう性分なのはこのためかもしれない。口論というより私の場合、五分煮詰まるなら、五時間歩いたり行動したり動いたりする方が良いのだ。私の場合は、動いた先に喫茶店を見つけて、というより喫茶店をめがけて動いていっているかもしれないけれど、これが最近の日常。
そして「波止場日記」に出てくるご飯が美味しそうだ。美味しそうな食べ物の描写はついつい目を追ってしまう。例えばバターとレモン入りのホットラムにウィンナーソーセージ入りの豆スープの登場はなんともアメリカらしい。そして著者は
疲れて機嫌が悪くなったときには、熱い紅茶を飲み、フルーツを少し食べ、特に二、三筆が進めば多かれ少なかれ、イライラした気分は消えてしまう。(引用「波止場日記」)
著者とわたしはなんとも似たような生活を送っている。熱い紅茶とフルーツ。それが救いだ。仕事の後には乾杯!が気持ちいいだろうが、私はお酒が飲めないので、ビールや日本酒の代わりにコーヒーや紅茶を飲むのが楽しみだ。
次男房はちょっとアメリカンカントリーな看板が特徴だ。
「波止場日記」で描かれていたアメリカの港の風を想像したら、このお店を思い出した。
【2017年9月訪問】
【東京都:外苑前】香咲 喫茶店のホットケーキ編
今日は外苑前の香咲。このお店は、喫茶店ガイドブックに載っていたもの。このガイドブックを読みはじめた当初から、今に至るまでに趣味のおおきな変化が起こり、喫茶店はついでに行くものから、それが目的ででかけるものへと変わっていた。だから外苑前にはあまりなじみがないが、喫茶店のおかげで縁ができた。
香咲はホットケーキの名店として本に掲載されていた。でも他の食事系も美味しそうだ。人気店なので入店時は満席状態だったが、帰るときにはお客さんが少なくなっていたので、写真を撮らせてもらった。奥のボックス席はプライベート感が高く、仲間と食事に来たらいい感じで過ごせそうだ。
ホットケーキのお皿には、葉っぱが描かれていて、ホットケーキを中心にした小さなブーケのようにみえて和みました。もちろん味も最高だ。
【2015年9月訪問】
【東京都:森下】小野珈琲 喫茶店のホットケーキ編
今日は小野コーヒー。ホットケーキが1枚270円。
ものすごく美味しいホットケーキのお店。
今日、江東区のカテゴリーを新設しました。結構いっている気がしたが、
記事にはしていなかったようだ。
ホットケーキに合う飲み物と言えば、コーヒーだ。
ホットケーキは子供のころからの、コーヒーは大人になってからの大好物。多分どちらも普遍的なものだけど、材料の選出、材料の扱い方、調理器具や作り手の気持ちで味の幅が広がるものだと思う。だから何度この組み合わせを頼んでも飽きないのだ。もちろん家で飲むコーヒーも好きだ。面倒な時はインスタントもいい。ホットケーキミックスだって美味しいと思う。結局ホットケーキもコーヒーも基本的に好物なんだな。
こちらのコーヒーはスペシャリティコーヒーだった。棚に飾られたコーヒー豆が入ったガラスの瓶を眺める。どの豆にしよう。悩む。店主の気に入った豆だけをこだわって仕入れているし、ハンドドリップだからどれも絶対美味しいはず。
ブレンドだけを見ても「小野珈琲ブレンド」「下町珈琲ブレンド」「森下珈琲ブレンド」「深川珈琲ブレンド」がある。まずはお店の名前を冠した小野珈琲ブレンドを注文する。
ホットケーキが有名だけど、コーヒーの味も追求している。いいお店です。
まったく...。コーヒーとホットケーキの組み合わせって幸せだなぁ。この日はその後の予定を変更して、素晴らしいこのお店で長居することを選んだ。
【2017年10月訪問】
【東京都:平井】ワンモア 喫茶店のホットケーキ編
今日は平井のワンモア。新年最初の更新だ。
赤くて丸くてまるで初日の出のような看板のワンモア。
偶然にも昨日1/2は満月だった。スーパームーンの丸い月が綺麗だった。
丸い縁起物のホットケーキ
ワンモアはホットケーキとフレンチトーストで有名なお店。
オーダーが入ると”まる、しかく”という声が飛ぶのが面白い。マツコの知らない世界でも取り上げられた有名店。混雑することはあるかもしれないが、並ぶ価値ありだと思う。まだフレンチトーストを頼んだことがないので是非再訪したい。
もしかすると丸くて角がないホットケーキは、縁起物かもしれない。
”喫茶店はじめ”には丸いものを食べるのもいいかもしれない。
写真を撮っておいてよかった。こうして写真を見て美味しかったことを思い出す。
満月のようにピカピカで、その温かさが伝わってくるホットケーキ。
脳のメモリーは完全ではないので、写真に残しておくと、記憶の補完にとても役立つ。当たり前のことだけど、ブログを書いているとそれを痛感する。記憶と記録をなかよく調和させる作業だと思う。ブログや日記というのは誰のためでもなく自分のために書いている。
一日の終わりに記事を書くことで、クールダウンする。
米子市立図書館 大人のための100選
2017-2018の年またぎで読んでいた本は
エリックホッファーの『波止場日記(労働と思索)』みすず書房
昨年末頃にtwitterで話題になっていた、米子市立図書館が選出した100選から。
この100選は、哲学書のようなものが多かった気がするが、『波止場日記』という身近なキーワードが入ったタイトルで読みやすそうだったので読んでみた。
この本は、著者が沖仲士と文筆業のWワーク時代に書いていた日記。彼は行動することがきっかけで思索し、思索することがきっかけで行動している。
思想は、普通、圧倒されるような経験から奔流となって流れ出すのではない。何か些細な出来事、あるいはたった一つの言葉が、その引き金を引くことがある。
(出展:『波止場日記(労働と思索)』エリックホッファー)
この本を読んで感じたのは、日々の営みの些細なこと、感じた言葉、それを日記に書いておくことがいつかの何かの思想の泉になっているかもしれないということ。日々のささやかな出来事(喫茶店訪問)から引き金を引かれた心の動きを綴ることは、なんだか落ち着く。
君の名は。とブログ
さてちょうど今、映画『君の名は。』の地上波初OAを見た後です。劇場でも見たのですがやはりいいものはいい!今の時代のアニメーション映画の頂点だと思う。単なる恋愛映画じゃなくて、感じるものがたくさんあった。特に記憶と記録の調和ということ。記憶ってなんだろう。意識ってなんだろう。手のひらに書いておかないと忘れてしまいそうなこと、もし忘れても気づかないまま時を過ごしてしまうこと。どうしても忘れたくないもの。確かに夢は、見ているあいだは鮮明なのに起きたら忘れている。夢の中でこれは覚えていよう。と意識しても目覚めたとたん忘れていくことが多い。幼少期の記憶だって、たくさん経験をさせてもらったはずなのに楽しかったことを忘れている。私は5歳当時「このときの記憶を大人になって覚えていたら面白いかもしれない」などと意識的に感じたことを覚えている。でも今になってそのとき何をしていたのか、なんの場面だったのか何月何日なのか覚えていない。
そういえば2017に読んだ『海辺のカフカ』も記憶がテーマの小説だったが、好きな気になるものってどこかで繋がると思う。結局、これからも意義とか意味とか意識にとらわれず、喫茶店にしても小説にしても旅先にしても、その時に直感でえらんだ心地よいものをブログに書いていきたいと思う。
それでは、皆様にとっても良い一年になりますように。
【2015年9月訪問】
【東京都:巣鴨】プール *2017年12月29日閉店*
今年最後の更新。今日の喫茶店は、今月2017年12月に閉店したお店を。巣鴨のプール。
プールのイメージそのままの青い庇が眩しい喫茶店。
窓側にすわって庇の下から空を見上げるのが好きだ。ビニールの庇を透かしてキラキラ光る日差しが眩しい。
モーニングは「ずっとやってます」と貼り紙にあった。ただ閉店が近づいた今月は、食材がなくなり次第早めに終了することもあったそうだ。
最初の訪問は11月。その時マッチを所望すると、ママが「もう12月で閉店するからたくさん持って行って」とふと閉店のお知らせを聞き、とても素敵なお店だったのに、とても残念に思ったことを覚えている。
深いグリーンの色合いのクリームソーダ。とてもメロンの味が濃かった。次の訪問では、モーニング「ずっとやってます」を期待し、お昼過ぎに訪問して無事まにあった。ホットドックセット450円。コーヒーカップの花びらのようなソーサーがキュートだった。
訪問は最終日の前日。最後にナポリタンが食べたくてきたよ、と声が。常連さんだろう。お昼時は満席で入れない方々もいた。でもこういう純喫茶は、お客さんをテトリスのコマのようにテーブルに座らせないところがいい。一人でも二人でも四人がけに座らせてくれる。ある意味非効率ともいえるそういうゆるさがいい。うまく回転させようとテーブル割りが細かいお店だと、お客さんの方も気を使う気がする。
「いいよどこでも空いているところに好きに座って」そんな誰にでもゆっくりしていってほしい、という懐の広さを感じるような素敵な純喫茶だった。マッチのデザインも素敵だ。ダーツのイメージ。プールという店名は泳ぐ方のではなくて、プールバーの方のビリヤードの方のプールだったのかな。マッチを見て気付いた。長い間お疲れ様でした。
【2017年11月訪門】