【東京都:虎ノ門】珈琲舎バン 虎ノ門店 最高の潮時
新橋周辺の喫茶店シリーズをお届けする。〈バン〉は虎ノ門にある喫茶店だ。
ビジネス街のレトロなオフィスビルの地下食堂街にある。ひょんなことからであった。
ここも私の潮待ち場所だ。潮汐については、占いが好きなこともあり、満月と新月の日を意識している。
月の影響で潮の満ち引きが起こること。 その感覚は、船の世界では最重要である。
「潮時」という言葉は
「物事の終わり」
というニュアンスで使用する人が多いと思う。
船の世界に身をおいて、そのことばに初めて意識を注いでみた。
「潮時」という言葉は、
終わり、というよりも”ちょうど良いタイミング”という意味で使う。
つまり最高潮=潮時だ。
潮時は、切なくではなく、楽しみに待つものだ。
この喫茶店も私の潮待ち場所である。
新橋周辺の喫茶店は、潮時を待つ場所としてたいへんお世話になった。
赤いソファとグリーンのタイルのテーブルが統一感があり素敵だ。
ちょうどいい場所で、ちょうどいい時間を過ごせる場所だ。
さぁ、コーヒーゼリーが来た。気分は最高潮だ。
この日のお供は『焼き餃子と名画座 わたしの東京 味歩き』(平松洋子著)だ。
平松さんの、思わずお腹がすいてしまう表現力に感服だ。
【2016年12月訪問】
【東京都:虎ノ門】フーガ 虎ノ門で潮待ち
新橋周辺の喫茶店シリーズをお届けする。フーガは、虎ノ門にある喫茶店だ。
ビルの谷間の地下にある町の喫茶店だ。
こんな感じのお店を虎ノ門で見つけた時の感動たるやご想像いただけるだろうか。
モチーフは音楽のようだ。階段の踊り場にある看板はバイオリンと、ト音記号だろうか。シルバーなのがシャープな音色が聞こえてくる
インテリアをみると、アットホームな喫茶店という印象だ。
この加減が、肩の力が抜けるし安心感がある。
虎ノ門周辺は、おしゃれだったり、かしこまったりガヤガヤの居酒屋か(それも好き)、逆に老舗すぎて肩肘張ったりしてしまう。
だからこそ、こういうスタイルの存在はありがたい。
さて、私がここで過ごしたのは〈潮待ち〉のためだ。
潮待ちというのは、船員用語だ。現場で日常的に飛び交っていた
私の好きな専門用語のトップ3だ。
本来の意味は
”潮流を利用して、航行する船が潮流の向きが変わるのを待つこと”だ。
面白いことに、船に対してではなく人間に対しても使うのだ。
”時間つぶしする”という意味だ。
例えば、アフター5(6?)に待ち合わせがあるとする。
それまであと小一時間ほどあって、社内で手持無沙汰にしていると、
社内ではこんな会話がなされる。
「お疲れ様。まだ残業してるの?」
「いえ、待ち合わせまで潮待ちしています」と。
ここフーガでは、まさになんどか「潮待ち」をした。業務後の習い事まで、時間が少しあったからだ。
ちなみに「潮待ち」という言葉には、楽しみであるというニュアンスが含まれる。
気乗りしないことを待つときには、使わないそうだ。
潮待ちで1時間弱を過ごしたフーガである。この当時は、能町みね子さんの『きまぐれミルクセーキ』を読んでいたので、ミルクセーキをひたすら頼んでいた時期だ。
新しくはいったバイトらしきお姉さんが、ミルクセーキを作るのに、奮闘していた。
おいしかったので、この味をぜひ守り続けてほしい。
というわけで、この日のお供は『きまぐれミルクセ〜キ』 (能町みね子著)だ。
【2016年6月】
【東京都:新橋】カトレア 美しいジャコブスラダー
新橋周辺の喫茶店シリーズをお届する。
カトレアは、新橋の〈ニュー新橋ビル〉内にある喫茶店だ。
ニュー新橋ビルの建築構造が独特で好きだ。梯子柄が素敵である。
カトレアでは、ニュー新橋ビルの梯子めいた壁を互い違いに並べたデザインをたっぷり鑑賞できる窓側が好きだ。
梯子といえば。海の言葉に〈ジャコブスラダー〉がある。
大型貨物船の船体から吊るされる縄梯子のことだ。
おもに、パイロットと呼ばれる各港の専門家が、洋上から船に乗り移る際使用する。
タグボートという小型の船で、大型貨物船の近くまで行き、そこでパイロットは垂らされた梯子を昇るのだ。このジャコブスラダーの名称は、聖書の物語に由来する。
ジャコブ(ヤコブ)の夢だ。
天使が昇降する天と地を繋ぐ梯子、からつけられたのだ。
隙間時間に訪問する喫茶時間はホッとする。隙間の構造が美しいこのニュー新橋ビルでは特にそうだ。
まだまだ存在していてほしい。新橋の天に続く梯子を見ながら、そう思う。
ジャコブが天使が梯子をのぼるさまを見て救われたように、
私もカトレアで夢心地に癒される。
(参考:成山堂「海の英語」佐波宣平)
【2015年7月訪問】
【東京都:新橋】カフェドカナール〜 タッチバンカー
新橋周辺の喫茶店シリーズをお届けする。カフェドカナールは、新橋の〈ニュー新橋ビル〉内にある喫茶店だ。
ニュー新橋ビルは純喫茶天国である。あんな喫茶店や、こんな純喫茶が入っている。
船の専門用語に、タッチバンカーというものがある。
簡単に言うと、目的地以外に立ち寄り、燃料を補給することだ。
燃料を補給するためだけの立ち寄りだから、業務が終わればすぐに出航しなければならない。
私は、15分あったら喫茶店にはいろうと思っている。
その15分のあいだに、いっさいの無駄な動きが出来ず、食べ終わるやすぐに出発しないこともある。
ここは勤務地からは距離が少しあるのだ。
でも、お昼休みはあと30分しかない。
せっかく来たなら、もっとゆっくりすればいいのに、とは思う。
でも入ってみて気に入ったら再訪すればいいのだとも思う。
チャンスがあればとにかく飛び込む。
せっかくいい場所だからもっと滞在したいし、
この空気と景色を目に焼き付けたいと思う。
そう思いながら、思いをめぐらせる。せっかく未知の地(海?)に来たのに、陸に降りられない船員さんも同じ気持ちなのではないかと。
寄港したけど陸には降りれないのだ。
せめてもう少しこの場所にいたいけど、時間の関係で長くはとどまれない、と。
私もエネルギー補給しなきゃ。午後の航行(業務)を遂行するため、
お腹に「よし!」という気合いを入るのだ。
燃費計算も大事である。
次はいつ来られるかわからない、だから、無理に立ち寄ったががホットサンドが美味しくて満足した。
正味5分くらいしか滞在できなかったが、次回ゆっくりくるための予習だとおもえば、と自分を納得させた。
【東京都:虎ノ門】ヘッケルン
新橋周辺の喫茶店シリーズをお届けする。ヘッケルンは、虎ノ門にある喫茶店だ。
職場の近くにある、何度も来店したことがあるが、ランチタイムに訪問したことがないと気づく。
昼のヘッケルンは、夜より外観がはっきり見える。
カウンターはぎっしりお客さんでいっぱいだった。
ランチの後のデザートなのか、ほとんどのひとがプリンセットを頼んでいる。
カウンターに積まれたたくさんのグラスの眺めは、ランチのピーク時ならではだ。
いちばん最初に訪問した日は、夜で、新橋のなつかし話をマスターが常連さんと語らっていた。
当時は新橋のことをよく知らなかったから、ここに来れば、この町のことがわかるな
と思った覚えがある。
壁の「寝ないでください」の文面におもわず微笑んだ日は遠い。
プリンに浮かぶヘッケルン
スプーンを入れると崩れる映像。
新橋の思い出も食べてしまおう。
【2017年3月ほか:訪問】
【新橋】サンマルコ
新橋周辺の純喫茶シリーズをお届けする
サンマルコは、新橋の〈ニュー新橋ビル〉内の喫茶店だ。
奥ゆかしく佇んでいる。こんなところにこんないいお店があったんだ。知らなかった。
ランプとソファのインテリアが、可愛く揃っているところが好きだ。
サンマルコのいいところは、鉄の窓から窓から電車が眺められるところだ。
鉄道を横目に、喫茶店で過ごす時間が好きだ。
鉄骨と鉄道という”鉄の塊”コラボに癒される。窓の外は駅だけど、まだ昼の12時。
帰りたいけど帰れないジレンマにも刺激を受ける。
なすがポイントのちょっとおしゃれなナポリタンがでてきた。
この頃は純喫茶のナポリタンをことごとく注文していた時期のようだ。
好みの雰囲気なので、写真の撮影許可をいただき、パシャパシャした。
「ただ古いだけなのにね〜。どこがいいのかね?」と不思議そうなご主人。
魅力に気づいていないのか控えめなのか。
「すごい素敵ですよ!」
人間でも魅力がある人ほど謙虚ですだ。
私の好きな言葉がある。
「実るほど こうべを垂れる 稲穂かな」
〈ニュー新橋ビル〉の奥、控えめに佇む店構えから、
そんな気概を感じる喫茶店だ。
【2015年5月訪問】
【新橋】ポンヌフ
新橋付近の喫茶店シリーズをお届けする。ポンヌフは、新橋駅前ビル内の喫茶店だ。
フランス語で
ポン=橋
ヌフ=新しい
ポンヌフの意味は、新橋である!!
パリにある橋、〈ポンヌフ〉も建設当時は一番新しい橋だった。
つぎつぎに別の橋がつくられ、いまや特別な橋ではない。
赤ちゃん犬にチビと名付け、とても大きく成長してしまうのに似ている。
新橋は、街もこのポンヌフも、当時は新しかったのだ。
ポンヌフはナポリタンが有名である。
新橋でおなかいっぱいになりたいならココだ。
銀のお皿にハンバーグがのっているナポリタンをみると学食を思い出す。
雑誌で「新橋のB級グルメ ナポリタン編」という特集があれば、ポンヌフが必ず乗っている。
プリンセットにした。とろけるプリンよりも、この手作りの固めがすきだ。
マスターに無理をお願いして頂いたマッチは、可愛くて大好きだ。
大切にしよう。
【2015年8月訪問】